賃貸経営と「孤独死」の問題を考える

2015年8月21日

賃貸経営において、今後、ますます無縁ではいられなくなってくるのが「孤独死」の問題だ。
高齢化、核家族化は日本が抱える構造的な社会問題でもある。東京都監察医務院のデータによると、2010年に、東京23区内で65歳以上の一人暮らしの人が自宅で死亡したケースは2,913人に及ぶ。賃貸経営をするうえでは、こうした「人的リスク」に対する対策をさらにしっかりと講じていくことが重要になってくるだろう。
「孤独死」へのもっとも基本策といえるのが、入居の段階での対策だ。
単純に「高齢者の入居はお断りする」という方法もなきにしもあらずだが、高齢化が進む中、一律に年齢による入居制限を設けてしまうことは空室率の増加、空室期間の長期化につながる。
そもそも孤独死が起こるのは、身内がいなかったり、身内とのコミュニケーションが希薄だったりすることが大きな要因だ。もちろん、健康であっても心筋梗塞や自然死などによって突然、居室内で亡くなる可能性がないわけではないが、一般的には、年齢とともに徐々に体調に変調をきたしたり、介護が必要になったりするケースが多い。
こうした場合、親しい身内がいれば、孤独死を迎える事態になる前に病院に入院させたり、介護施設に転居したりと対応をしてくれるはずだ。
したがって、入居の段階で、子どもをはじめとする法定相続人を連帯保証人としてつけることを条件にすることである程度のリスクはヘッジできるだろう。
それでも孤独死が起きてしまった場合にはどうなるのだろうか。
当然のことながら、入居者が亡くなり、遺体の運び出し等が済んでも、家財道具はそのまま居室内に残っている。こうした家財道具を処分する権利は大家にはない。したがって、法定相続人と交渉して契約を解除し、家財道具を片づけ、部屋を明け渡してもらうことになる。明け渡し日までの家賃や、原状回復費用については、連帯保証人に支払い義務があるので、最初に連帯保証人をつけておけばこの点ではさほど心配ない。法定相続人がいなかったり、法定相続人が全員相続放棄をしたりすると、契約解除や部屋の明け渡しについて交渉する相手がいないので、ここでつまずいてしまう。相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てするなど手続きが煩雑になり、それだけ時間も費用もかかってしまう。
また、孤独死が起こったケースで金銭的なトラブルが起こりやすいのは、この後だ。
自然死による孤独死の場合には、死亡事故とはみなされないので、原則として次の入居者への告知は不要だ。しかし、死亡事故ではなかったとしても、発見までに時間がかかってしまった場合などは特に、近所でウワサがながれたり、他の入居者が退去してしまったりして、全体の入居率が下がる、家賃を大幅に減額しないと次の入居者がつかないといった事態になりやすい。自殺であれば、こうしたその後の賃料の減収分をはじめとする逸失利益を相続人や連帯保証人や相続人に請求できることも多いが、いわゆる自然死の場合には過度の期待は禁物だ。
近年では、孤独死や、自殺、殺人事件などの賃貸物件内での死亡事故が発生した場合の金銭的リスクに備える少額短期保険も登場している。
家賃にもよるが、保険料は1戸あたり年間数千円の場合が多いようだ。一人暮らしの高齢者が入居する場合などはこうした少額短期保険への加入で備えておくというのも効果的といえるだろう。

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