
自立した豊かな人生を切り拓くためには、お金が持つ見えない価値を知ることも重要です。
前章のマイホームと同じように、今、目の前にあるお金だけで判断してはいけないことは、さまざまな場面で出てきます。その見えない価値を捉えられると、未来を切り拓く人生を歩むことができます。
大雨の日に、会社から取引先に行かなければいけない状況にあったとします。いつも利用する電車ならば200円で済みます。
一方で、タクシーを使えば2000円かかります。無駄なお金を使わないという意味では、電車を使うべきだといえるかもしれませんが、大雨の中を歩いていけば、「濡れたままのスーツで取引に支障が出るかもしれない」「風邪を引くかもしれない」といったリスクがあります。
つまり、ここでのタクシー代2000円には、その価格以上の価値があるのです。
お金の価値は状況によって変化する!?
目の前にある価格だけにとらわれることなく、その価格の先にある本当の価値を見抜くことで、お金の価値そのものを最大化させることが可能になるのです。
日々の生活の中で、本当の価値を見極める力を養うには、価格当てゲームがお勧めです。
スーパーでものを買うとき、飲食店で注文を考えているとき、あるいは家電量販店やウィンドウショッピングをしているときなどに、値札を伏せて、そのもの自体をじっくり観察し、いくらなのか予想するのです。
この価格当てゲームを行うことで、価格の先にある本当の価値を考えてから買い物をするクセをつけることができます。
これは、ビジネスにも応用できます。プレゼンや商品開発、営業活動などあらゆるビジネスの場面で、TPO(時と場所と状況)に応じて値段だけではない本当の価値を相手にアピールできるようになるからです。
同じ100円のものを売っている営業マンでも、人によって売り上げは大きく異なりますよね。その要因のひとつが、この価値と価格を見極める力の差だといえるのです。
見えにくい価値は収入(働き方)にもある
実は、収入にも見えない価値があります。
同じ手取り18万円の収入が得られる正社員とパート・アルバイト。その収入の価値は同じでしょうか。多くの面でそこには差があります。
社会保険の手厚さや老後の年金受給額には、大きな差が出てきます。20年後の手取り収入も、おおむね正社員であれば増えているでしょうが、アルバイトでは、ほとんど横ばいか、増えても微々たるものです。退職金の有無にも差が出てくるため、生涯年収で考えると、数倍もの差がつくこともあるでしょう。
このように、多くの人にとって、正社員のほうが見えない価値があるといえます。
ただし、働き方の多様性で見た場合には、パート・アルバイトに魅力を感じる人もいるでしょう。「子どもを幼稚園に預けている間だけ働きたい」という人にとっては、正社員よりもパート・アルバイトのほうが価値がある場合もあるということです。
このように、見えない価値は、人や立場によって異なるものです。正社員と派遣社員でも異なりますし、会社員とフリーランス(個人事業主)でも異なります。
一見すると同じ収入であっても、その裏にある価値の差は大きいことを忘れないようにしてください。
本当の豊かさを得るためには、人生におけるあらゆる場面で、この隠れた価値にまで気づく必要があるのです。
商談では「見えない価値」をいかにアピールできるかがカギ
見えない価値を見つける能力が身につくと、相手の心をつかみやすくなります。仕事の成否を分けるほとんどの要因がここにあるともいえます。