子どもへの住宅取得資金援助にも税金がかかるの? 非課税制度の特例があります!

2017年8月11日更新

50代になって、子供が成人しマイホームを購入するような場面がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。まだまだ資金面で十分な蓄えのない子供に向けて、なにか援助をしたいと思うこともあるでしょう。
しかし、単に多額のお金を渡すだけでは、子への贈与として贈与税がかかってきます。これでは税金のおかげで余計にお金がかかってしまいます。
今回は、親などが子に住宅資金を援助する際に利用できる「住宅取得等資金の非課税制度の特例」についてみていきましょう。

親から子への住宅取得資金援助と贈与税

子が住宅を取得する際に、金銭的に余裕のある親が資金援助することがあります。
通常、個人から財産を受けることを「贈与」といい、一定額以上の贈与を受ける場合には「贈与税」を払うことになります。
原則、親が資金援助をして子が住宅を取得する場合でも、その資金は子に対する贈与となり、金額によっては贈与を受けた者(受贈者)、つまり、子に贈与税が課税されます。
平成27年からの相続税、贈与税の改正により、相続では非課税枠が減少し実質の増税となった一方で、贈与では特例が設けられるなど、減税が図られました。これは高齢者世代が保有する財産を相続まで待つことなく、早い時期に若い世代に財産を移行させることが目的です。

直系尊属からの住宅取得等資金の非課税制度の特例

住宅取得等資金の非課税制度(以下、当特例という)は、実の親や祖父母から住宅取得のための資金の贈与を受ける場合、一定の金額まで贈与税が非課税になる制度です。
当特例の主な適用要件は以下の通りです。
・対象者は父母および祖父母などの直系尊属からの贈与であること。
・贈与年の1月1日に20歳以上の子・孫などであること。
・贈与を受けた年の年分の所得税の合計所得金額が2,000万円以下であること。
・新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積が50㎡~240㎡であること。

非課税の限度額は、(表1)の通り、住宅の種類や契約の時期より金額が異なります。子への贈与を検討している場合には、契約締結日などを確認するようにしましょう。また、消費税の税率が10%になったときには、非課税の限度額が増額されることも決まっています。
特に、平成31年4月1日~平成32年3月31年までの1年間の非課税限度額は、最高3,000万円(省エネ等住宅)となる予定です。

国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm
以下に、当特例に関して、間違えて覚えられている点についてまとめました。
「特例を使うつもりで贈与したけれど、使えなかった」ということがないように、しっかりと制度内容を確認しましょう。
・住宅取得の対価に充当する贈与の特例であるため、住宅ローン返済のための資金援助は対象外。
・配偶者の親からの資金援助は、直系尊属でなないため対象外。
・非課限度額は、受贈者1人に対しての額であり、贈与者1人に対しての額ではない
(複数の直系尊属から贈与を受ける場合はその合計額が非課税限度額となるため、例えば父から1,200万円、祖父から1,200万円、合計2,400万円とはならない)。

非課税の特例のメリット

当特例は暦年課税制度(※2)や相続時精算課税制度(※3)と併用が可能です。
例えば、平成32年3月末までの契約で省エネ等の優良な住宅を取得した場合は、暦年課税と併用する場合は控除額110万円を加えた1,310万円まで、相続時精算課税と併用する場合は2,500万円を加えた3,700万円まで非課税枠が拡がります。
なお、制度を利用するためには確定申告が必要なので、忘れずに申告しましょう。
(確定申告については『初心者でも安心。 確定申告で気になるポイント』を参考にしてください。)
また、原則、相続開始からさかのぼること3年以内の贈与に関しては、その亡くなった人からの贈与の額は相続財産に加算され、相続税の課税対象となります。
しかし、当特例の適用を受けた非課税限度額内の贈与に関しては、贈与者が3年以内に亡くなった場合でも、相続財産には加算されません。相続税対策としてもとても有効な制度といえるでしょう。
※1「省エネ等住宅」:断熱等性能等級や耐震等級が一定の省エネ等基準に適合する住宅で、一定の書類により証明されたもの。
※2「暦年課税制度」:贈与額のうち、基礎控除として年間110万円までは申告不要で非課税となる制度。
※3「相続時精算課税制度」:一定要件下において、2,500万円までの贈与額が非課税となり、
2,500万円超の部分には20%の贈与税が課税される制度。ただし、相続発生時には当制度にて贈与を受けた金額は相続財産に加算される。

この記事のライター

高橋禎美

ファイナンシャルプランナー/ 一種証券外務員/ パーソナルカラーアドバイザー
大手アパレルメーカーを退職後、FPとして独立。個人FP相談や投資初心者の女性に向けた「はじめての投資」セミナーを開催中。お金とファッションに興味のある30代以上の女性に支持されている。

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