返済総額を左右する金利と期間:『マンションを買うまでに読む青本』vol.6

2019年8月22日更新

マイホームを買おう!と思ったら、多くの人がまず気になるのが「住宅ローン」のことかもしれません。一生の中でも1、2位を争う大きな買い物といわれる住宅購入をギャンブルにはできませんよね。前シリーズ『マンションが買いたくなったら読む赤本』でマンション購入を決めた山田さんのお宅の事例を通して、住宅ローンを利用するときのポイントをおさえましょう。

vol.6では、思いのほか返済総額に影響を及ぼす住宅ローン金利について見ていきます。

金利 1%の違いは意外に大きい

1%の増減で総返済額にどれだけの差がつくか

美香:住宅ローンの金利はだいたい3%程度と言われているけど、金融機関や金利タイプによっては2%前半のものや、4%台のものもあるわね。金利が1%違うと、総返済額はどのくらい違ってくるのかしら?

たとえば、山田さん一家が3,000万円のマンションを買うために、固定金利3%で30年のローンを組んだとしましょう。

翔太:消費税8%で100円のものを買うと、100円×1.08=108円になるから、家も同じで3,000万円×1.03=3,090万円になるのかな?

これは、大きな勘違い。住宅ローンの計算法はそんなに単純なものではなく、例えば毎月の返済額が同じになるよう設定された元利均等返済の場合、元金と利息の額が毎月変化するため、複雑な計算式を用いることになります。その結果、実際の総返済額は約4,553万円になります(自分のケースに即した数値を知りたい場合は、ネットのローン返済額試算サイトを利用すると便利です)。

では、金利が2%になるとどうなるでしょう。答えは約3,992万円。3%のときより561万円安くなります。金利が4%なら、総返済額は約5,156万円。3%のときより603万円も高くなります。このように金利が1%違うだけで総返済額に大きな差がつくのですから、「ローンをどこで組むか」「どんなタイプのローンを選ぶか」は、とても重要な問題なのです。

ローン借り換えの目安はあるか

世の中の金利水準が下がり、現行のローン金利よりも低金利のローンが出てきたら、「ローンの借り換え」を考えてもいいでしょう。「借り換え」とは、高い金利で組んでいたローンをより低い金利で組み直すことで、具体的には現行の住宅ローンの残高を新しい金融機関で借り入れし、一括返済することです。ただし、現行のローンを精算して新規に住宅ローンを借り入れることになるので、事務手数料や登記費用などが新たにかかり、誰もが必ずしもトクをするというわけではありません。借り換えたほうがいいおおよその目安として、次の3点が挙げられます。

1.住宅ローンの残高が1,000万円以上ある

2.借り換え前後の金利差が1%以上ある

3.返済期間が10年以上残っている

例えばローン残高が2,000万円で固定金利が3%、残りの返済期間が15年とすると、毎月の返済額は約13万8,000円で総返済額は約2,486万円です。しかし固定金利が2%のローンに借り換えた場合、毎月の返済額は約12万9,000円で総返済額は約2,316万6,000円となり、その差は約169万4,000円となります。諸費用は各金融機関によって異なりますが、たとえば約50万円かかったとしても、約120万円トクをすることになります。自分も借り換えをしたほうがいいかどうか知りたい場合は、ネットの住宅ローン借り換えシミュレーションサイトで試算することができます。

そんなに返済期間が長くて大丈夫?

美香:モデルルームで営業マンに返済計画をシミュレーションしてもらうと、たいてい35年返済の計画表を出してくれるわね。でもその提案通りに長期のローンを組んでしまうと、あなたは今35歳だから、70歳になるまでローンを支払い続けることになるのよ。定年後もローンが残るなんて、不安だわ。

翔太:そうだな。その年になっても今と同じ支払い能力があるとは考えにくいから、せいぜい60歳までと考えるのが安心だろうな。

総返済額を減らすには、「わずかでも金利差にこだわることが大切」と書きました。そのほかに、もうひとつ重要なのが返済期間の長さです。

例えば、3,000万円を金利3%の住宅ローンで35年返済にすると、毎月あたりの返済額は11万5,455円。これを35年間(420カ月)返済すると、総返済額は11万5,455円×420カ月=4,849万1,100円となります。つまり3,000万円の借入に対し、支払う金利は約1,850万円にもなります。しかし5年間短縮して30年返済にすると、毎月の返済額は12万6,481円となり、総返済額は4,553万3,160円で、支払う金利は約1,550万円。さらに5年間短縮して25年の返済にすると、毎月の返済額は14万2,263円、総返済額は4,267万8,900円で、支払う金利は約1,268万円となります。このことから、ローンは支払期間が長引けば長引くほど利息が多くなり、総返済額が高くなることが分かります。

営業マンが35年ローンを真っ先に持ち出すのは、月々の返済額を低く抑えて、見た目の負担感を少しでも感じさせないようにするためです。それをそのまま鵜呑みにして長期のローンを組んでしまうと、利息がかさんで総返済額が大きく膨らんでしまいます。また、体力が衰える60歳を過ぎても1000万円以上のローン残債があるのは危険です。「60歳マイナス今の年齢」が、借入期間の本当の指標と覚えておきましょう。

▶︎vol.7に続く

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【出典・参考文献】

山崎隆『東京マンション資産価値予測 DATA BOOK』(ダイヤモンド社)

泉正人 cafeglobe「美マネ experience」

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