上手な繰り上げ返済の使い方:『マンションを買うまでに読む青本』vol.7

2019年8月22日

マイホームを買おう!と思ったら、多くの人がまず気になるのが「住宅ローン」のことかもしれません。一生の中でも1、2位を争う大きな買い物といわれる住宅購入をギャンブルにはできませんよね。前シリーズ『マンションが買いたくなったら読む赤本』でマンション購入を決めた山田さんのお宅の事例を通して、住宅ローンを利用するときのポイントをおさえましょう。

vol.7では、返済総額をカットするための繰り上げ返済や、親族からの贈与の上手な使い方を見ていきます。

ローン生活を賢く乗り切る方法

「繰り上げ返済」を上手に使って返済総額をカットする

翔太:ローンは1年でも2年でも短く組んだほうが、それだけ利息分を払わなくていいんだからトクだよね。でも最初から頑張って25年ローンを組んでしまうと、月々の返済額が高くなるから、それはそれで不安だなあ。

美香:そういうときは無理のない30年ローンをとりあえず組んでみて、途中で資金に余裕ができたら繰り上げ返済をすればいいのよ。

「繰り上げ返済」とは、住宅ローン残高の一部を繰り上げて返済することです。繰り上げ返済した資金はローンの元金部分に充当されるので、そこに対応する利息部分の負担がなくなり、返済総額を減らすことができます。繰り上げ返済には「期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類があります。期間短縮型は毎月の返済額を変えずに返済期間を短くするタイプ、返済額軽減型は残りの期間を変えずに毎月の返済額を減らすタイプです。一般的によく行われるのは期間短縮型のほうで、数カ月から数年かけて支払う予定だった元金をまとめて返済するため、その期間にかかるはずの利息をカットできます。特に返済当初は利息返済分の割合が大きいので、早い時期に繰り上げ返済をすると元金部分を一気に返済できるため、カットできる利息が多くなります。

返済額軽減型のほうは、「毎月の生活費に余裕を持たせたい」という人向きです。月々のローン負担額は少なくなりますが、期間短縮型よりは利息の軽減効果が少なくなります。例えば金利3%で3,000万円を20年間払う場合(ボーナス返済なしの元利均等)、月々の返済額は16万6,379円になりますが、35年間なら11万5,455円で、月あたりの差は約5万円になります。5万円あれば子どもの教育費などに回すことができますし、もし病気やリストラなどで収入が減ったとしても、月々のローン負担額が少ないぶん、対処の余裕があります。ただし返済額軽減型は、期間短縮型よりは利息の軽減効果が少なくなります。

親族からの資金援助を上手に受ける

美香:今は遥人(注:山田家の一人息子)もまだ小さいけれど、やがて教育費が大きくかかるようになるわ。小学校から大学までずっと私立に通わせた場合、1,500万円以上かかることもあるそうよ。子どもが増えたらその2倍、もう一人増えたらその3倍ね。住宅ローンの支払いも平行して続くし、将来のやりくりを考えると頭が痛いわ。

多くの家庭が頭を悩ませるのが、住宅ローンと教育費の両立。祖父母からの教育費贈与を検討するのも手です。祖父母から教育費の贈与を受けた場合、一定の条件を満たせば非課税になる特例措置が2021年まで利用できます。30歳未満の孫に一括で贈与する場合、学校の授業料や留学の学費などは1,500万円まで非課税、学習塾などの習いごとは500万円まで非課税になります(孫1人あたり)。制度の適用を受けるには金融機関で口座を開設し、かかった教育費の領収書をその金融機関に提出することが必要です。

もし実現すれば、教育費負担のプレッシャーから解放されて支出のピーク期をラクに乗り越えることができるうえ、祖父母からの学費支援で浮いたお金を住宅ローンの繰り上げ返済に充当することもできます。

親や祖父母から住宅に関する資金援助を受けるには、「住宅取得等資金の非課税制度(住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置)」を利用するほか、親と共有名義にする方法もあります。例えば4,000万円のマンションを50%ずつの区分所有にし、親と子で2,000万円ずつ出し合って購入します。親の持ち分の居住部分を使っても、特に問題はありません。ただし将来親が亡くなったときは、親の持ち分を子どもが相続することになります。相続する子どもに兄弟姉妹がいる場合、遺産分割のトラブルになる可能性があるので、遺言状にマンションの所有権を譲ってもらうと明記するなど、事前に対策をとることが大事です。

▶︎vol.8に続く

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【出典・参考文献】

山崎隆『東京マンション資産価値予測 DATA BOOK』(ダイヤモンド社)

泉正人 cafeglobe「美マネ experience」

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