共働き夫婦の住宅ローンはどれが正解?〜ペアローン・連帯保証・連帯債務〜

2019年10月23日

共働き夫婦で住宅ローンを組みたい!どんな方法がある?

ひと昔前は、住宅ローンと言えば、夫名義でローンを組み、住宅や土地も夫名義というのが当たり前でした。
しかし、近年では共働きが増えてきたこともあり、住宅ローンを夫婦共同のローンとして組み、購入する住宅も夫婦共有名義とする夫婦が増えてきました。
一口に共同名義の住宅ローンと言っても、その方法はいくつかあります。
夫婦共同で住宅ローンを組むのにはどんな方法があり、それぞれのメリット・デメリットはどのようなものなのか、詳しく解説していきましょう。

ペアローンの場合

ペアローンとは、夫婦それぞれでローンの持分を決めて、夫婦で別々のローンを組む方法です。
例えば総額3,000万円の住宅ローンを組む場合、夫名義で2,000万円、妻名義で1,000万円というように、ローンを2本別々にする方法です。
そして、双方の住宅ローンはそれぞれその配偶者が連帯保証人になります。
夫名義の住宅ローンは妻が連帯保証人になり、妻名義の住宅ローンは夫が連帯保証人になることによって、どちらか一方の住宅ローンの返済が滞っても、その配偶者に連帯保証人としての責任が及ぶので、どちらか一方のローンだけが返済が滞ることがないようになっています。
頭金なしでこの3,000万円のローンで住宅を購入する場合、購入する不動産の持分もペアローンの割合と同じでない場合には贈与税がかかる可能性があるので注意が必要です。
上記の例では2,000万円が夫、1,000万円が妻ですので、住宅の持分も2/3が夫、1/3が妻というようになります。

ペアローンのメリット

ペアローンのメリットは以下の通りです。
・夫婦それぞれでローンを区分できる
・返済用口座も別々になるので夫婦の会計を分けられる
・夫婦それぞれ住宅ローン減税を受けられる
・夫婦それぞれに団体信用生命保険に加入できる
・購入住宅の持分も明確に分けられる
夫婦それぞれが別のローンを組むので、ローンも不動産の持分も明確になり、返済用口座も別々ですので、ローンの返済まで夫婦の会計をきっちりと別にすることができます。

ペアローンのデメリット

ペアローンのデメリットとしては以下のような点を上げることができます。
・夫婦それぞれに返済能力がないと住宅ローンを組めない
・住宅ローンを2本組むので手続きが面倒
夫婦それぞれが住宅ローン審査に通過できる程度の返済能力がないとローンを組むことができないので、2人とも正社員で勤続年数が3年程度がないとペアローン借入は難しいでしょう。
また、ローンの本数が2本になるので手続きも2倍になります。

連帯保証の場合

連帯保証とは夫婦どちらか名義で組んだ住宅ローンの連帯保証人にもう一方の配偶者がなるように住宅ローンを組むことです。
夫名義の住宅ローンに妻が連帯保証を行うということです。
連帯保証人は借主と同じだけの返済義務を負うため、夫婦ともに住宅ローンを組んでいると言えるかもしれませんが、あくまでも借主は1人ですので、厳密には夫婦共同で住宅ローンを組んだことにはなりません。
ただし、手続き的には最も簡単な方法です。
離婚した場合には、借主だけではなく連帯保証人にも責任が残ってしまうので、注意しましょう。
また頭金なしのフルローンで住宅を購入した場合、購入する不動産の持分は100%夫のものになり、妻の名義にすることはできません。

連帯保証のメリット

連帯保証のメリットは以下の通りです。
・夫の信用だけで審査を受けられる
・債務者が1人だけなので手続きが簡単
・妻が専業主婦でも保証人になれることがある
借主はあくまでも夫(妻)ですので、借主の信用だけで審査を受けることができ、連帯保証人になる妻(夫)の信用力は審査にはほぼ無関係です。

連帯保証のデメリット

連帯保証のデメリットは以下の通りです。
・購入物件は債務者の名義のみ
・妻の収入から住宅ローン減税はできない
連帯保証の住宅ローンは借主が借りた住宅ローンで住宅を購入するため、住宅の名義は借主だけのものになります。
また、妻は借主ではないので、妻に収入があったとしても妻の所得から住宅ローン減税を受けることはできません。
住宅ローン減税は夫の収入からのみ控除されることになります。

連帯債務の場合

連帯債務とは1つの住宅ローンに夫婦2人が借主となる住宅ローンです。
ペアローンとの違いはローンの件数が1件なのか2件なのかの違いだけですが、連帯債務については、いくらが夫の借金でいくらが妻の借金という区分がありません。
このため、離婚した場合にはペアローンと比較してスムーズに手続きが進まない場合があります。
ローンで購入する物件を夫婦共同名義にしたい場合などで用いられる方法で、手続き面でペアローンよりも簡単というメリットがあります。
こちらはペアローンと異なり、それぞれのローンの割合が不明瞭ですので、それぞれの収入の中からいくらずつ住宅ローンを返済していくのかという割合に応じて購入する不動産の持分が決まります。
毎月、夫と妻の収入から半分ずつ負担して住宅ローンを返済するのであれば、購入する不動産の持分も1/2ずつとなります。
実際にこの通りに返済している夫婦は少ないので、連帯債務はかなりアバウトに持分を決めることができてしまうのが実情です。
連帯債務の住宅ローンは、主たる債務者と従たる債務者を決めなければならず、通常は妻よりも所得が高い夫が主たる債務者になります。
そして、審査は主たる債務者の信用を元に行われ、従たる債務者の返済能力はそれほど重視されないので、主たる債務者に返済能力さえあれば、従たる債務者が毎月弁済できる程度しか所得がなくても審査に通過できる可能性があり、従たる債務者は住宅の持分を得ることができます。

連帯債務のメリット

ペアローンの持分は以下のようになります。
・ペアローンの審査に通らない配偶者でも債務者になることができる
・借入本数は1本なのでペアローンよりも手続きが簡単
・夫婦双方で団体信用生命保険に加入できる
・夫の収入に妻の収入を合算でき審査に通りやすい
・夫婦双方で住宅の持分を持てる
連帯債務は主たる債務者の信用を元に審査が行われるので、ペアローンで借主になることができない収入の低い妻でも連帯債務であれば債務者となることができ、住宅の持分を得ることができるのがメリットです。
また、夫婦双方で団体信用生命保険に加入することができるので、夫婦それぞれの生命保険を見直すこともできるでしょう。

連帯債務のデメリット

連帯債務のデメリットは以下の通りです。
・返済口座は主たる債務者のものしか設定できない
・ローンの持分の区分が曖昧
・離婚した時にトラブルになりやすい
連帯債務の住宅ローンはペアローンのように夫婦それぞれで別々の住宅ローンを借りるわけではありません。
そのため「夫婦のどちらにいくらの借金が残っているのか」ということが分かりにくくなります。
また、連帯債務の返済口座は主たる債務者の口座からのみとなるので、ペアローンのように、それぞれの給与振込口座から別々に返済をしていくということができません。
夫婦の間で家計のやりくりが曖昧になりやすいというデメリットがあります。

自分たちにはどれが向いてるか?収入から判断

このように夫婦共同で住宅ローンを組む方法は3つあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どの方法で住宅ローンを組むかについては当人たちの好みで決めるのが最も適切です。
例えば借金の割合を夫婦で明確にしておきたいということであれば、ペアローンが分かりやすいですし、返済に関しても夫婦それぞれの口座から返済されるので、夫婦の間で不満が出る可能性も少なくなります。
また分かりやすい方法として、収入で決めるという方法もありでしょう。
連帯保証と連帯債務は主たる債務者に住宅ローン全額の返済能力さえあれば連帯債務者や連帯保証人に返済能力がなくても住宅ローンを借りることができます。
一方、ペアローンは夫婦それぞれが単独で住宅ローンを組むので、それぞれに返済能力が認められる程度の収入がないと住宅ローンを組むことはできません。
ペアローンは夫婦それぞれに収入がないと組むことすらできないので、それぞれに収入があり、夫婦それぞれの借入金と、返済を分けたいという場合にはペアローンが向いていると言えます。
また、夫婦それぞれで住宅の持分は持っておきたいが、奥さん(夫)単独の収入ではペアローンを組むことができないという場合や、借入手続きを簡素にしたいという場合には連帯債務が向いています。
住宅の名義もローンの名義も夫(妻)だけでいいという場合には連帯保証というように使い分けるとよいでしょう。

もしも途中で離婚してしまったら・・?!

離婚した場合でも、それは銀行には無関係ですので基本的に住宅ローンは完済まで支払わなければならないのが原則です。
しかし、夫婦が住む家でもないのに、離婚してまで住宅ローンを支払うことは困難です。
このため、基本的に離婚した場合には以下のいずれかの方法がとられるのが一般的です。
・引き続き住み続ける方が、離婚する配偶者のローンを買い取る(債務引受する)
・任意売却にかけて売却代金で住宅ローンを完済する
・夫(妻)が慰謝料代わりに住宅名義を妻(夫)に移し、夫(妻)が全額住宅ローンを支払っていく
離婚した場合には、夫婦のうちどちらか一方が、自分は住まないのに借金だけを背負っていかなければなりません。
このようなことがないように、上記いずれかの方法で住宅ローンは夫婦どちらか一方の名義に切り替えるか、住宅そのものを売却して、ローンを返済してしまうという人がほとんどです。
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この記事のライター

手塚大輔

地方銀行に7年勤務。FPとして大手メディアに執筆多数。銀行退職後飲食店も企業し、起業、資金調達、資産運用などのアドバイスを行う。クラウドワークス2018年6月ライラーランキング1位

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