リアルながんの治療費はどのくらい? 病気への備えはどうすればいい?

2017年9月22日更新

多くの人が「がん」と聞くと、たくさんお金がかかるのではないかしら……と心配されます。でも、本当にそうでしょうか?
治療は健康保険の対象になるものがほとんどですし、日本には、高額な医療費がかかった場合に費用が軽減できる「高額療養費制度」という素晴らしい制度があります。
その他の点では医療の進歩や長期入院の適正化の施策などから、入院期間の短縮化も進んでいます。
とくに50代は、がんの罹患率がぐんとアップする年代。そこで今回は、リアルながんの治療費とそれに対する備えについて考えてみましょう。

治療にかかった費用は平均126万円。でもかかるお金は医療費だけではない!

まず、実際にがんの治療にどれくらいかかるのでしょうか?
カーディフ生命保険会社が、「過去3年以内にガンに罹患した方」を対象に、「ガン患者の悩みや負担に関する実態調査(アンケート調査)」を実施しました。これによると、「治療にかかった費用」は平均126万円です。
その内訳は、直接費用が平均86万円間接費用が平均40万円となっており、それぞれ以下のようなものが含まれます。
これをみると、がんでかかるお金は病院に支払う医療費だけではなく、それ以外にもさまざまなものが必要だということ。その額は決して少なくないことがわかります。
・直接費用・・・入院代、手術代、薬代、抗ガン剤費、差額ベッド代、通院費、検査代、その他の費用の合計(高額療養費制度を利用した場合はその自己負担額)
・間接費用・・・家族の交通費・宿泊費、健康食品やサプリメント、公的保険適用外の漢方薬、美容(ウイッグ)費用、快気祝い、その他諸経費の合計
<参考>
カーディフ生命「2013年5月アンケート調査」
http://www.cardif.co.jp/jp/pid2674/-3ci.html

がんの治療中に安心できる金額はかかった金額の約3倍!

一般的に、がんの医療費は、どのようながんに罹患するかという「がんの種類」とどれくらいがんが進行しているかという「病期(ステージ)」で大きく変わります。
また、患者本人やご家族が、どのような治療を受けたいかなどでも異なりますので、がんにかかるお金はケースバイケース。あくまでも、データなどの平均額は目安に過ぎません。
そして前掲の調査では、実際にかかった費用以外に「闘病中にあれば安心できた金額」についても質問しています。
その結果、治療費や収入の減少などを総合的に考えて、いくらあれば安心できたのかに対して、平均364万円と回答。なんと前述のかかった費用の3倍近くになります。
経済的な備えがあれば、仕事を休んで治療に専念したり、家事や育児の代行サービスを利用したりすることも可能です。この調査結果は、そんながん患者やご家族のリアルな状態をよく表しているでしょう。

「病気のお金に困らないための6か条」とは?

とはいっても、300万円以上ものお金を、将来、罹患するかどうか分からないがんのために準備するのは大変なことです。
経済的備えも含め、がんなどの病気のときに困らないようにするには、今からどのように備えておけば良いのでしょうか?「病気のお金で困らないための6か条」をご紹介します。
【第1条】 病気になりにくい生活を心掛ける
【第2条】 病気に関するエビデンス(科学的根拠)のある正しい知識や情報を知る
【第3条】 公的・民間制度は「セルフサービス」が原則と心得ておく
【第4条】 病気のお金は「保険」と「貯蓄」の両輪で備える
【第5条】 民間保険に過剰な期待は禁物。今の医療に適しているか定期的な見直しも必要
【第6条】 病気や経済的な悩みなど相談・解決できる窓口を複数持つ

日頃からの病気予防でカラダとおカネの負担を軽減する

この中で、多くの人が見落としがちかつ重要なポイントは第1条です。
例えば、生活習慣に留意する、定期的に適切ながん検診や人間ドックを受ける、かかりつけ医をつくるなど、まさに予防に努めるということです。
とくに、がんは、早期で発見し、適切な治療が受けられれば完治する可能性の高い病気と言われています。しかし、いくらがん医療が進歩したといっても、病気にならないのが一番。
また、がんは早期で見つかれば、再発リスクも低減されます。その分、がんにかかる費用も抑えられることを理解しておきましょう。

がんを恐れるのではなく、自分自身と向き合う勇気を

経験したことのない人は、病気になったらどうなってしまうのだろうと不安に駆られ、そうなったときのことなど、想像もしたくないのは当然です。
けれども筆者は、「もっと早く準備していれば、色々なことを知っていれば」と罹患後に後悔しているがん患者さんやそのご家族の声をたくさん聞いています。
ですから、やみくもにがんを恐れるのではなく、何かあった場合にどれだけ備えられているのか、自分の「ココロ」「カラダ」「おカネ」と向き合う勇気を持っていただきたいと考えています。
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この記事のライター

黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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