どこまで許される?
自分が着なくなったブランド物の服を、ネットで販売することは、普通に行われています。ヤフーオークションやメルカリなどで販売した人も沢山いるでしょう。それ自体は特に問題のない行為です。さらに、そういう服が傷んでいたような場合、少し修繕して出すことも、特に問題ないですし、現実によく行われています。
ところが、さらに一歩進んで、ブランド物の服を自分で改変したり、何かを付け加えて販売した場合には、法的に許されるのでしょうか?
判例はあるの?
有名な事件で、ある日本の企業が、カルティエの腕時計に、宝石を埋め込んで販売したものがあります。宝石を付け加えた腕時計を、そのままカルティエのブランで販売していたんですね。
裁判所は、この販売行為は、カルティエ商標の侵害になると判断しました。例えば、安っぽいダイヤを使っていた場合など考えると、確かにカルティエのブランドイメージを傷つけそうです。
それなら、腕時計にダイヤを付けるが、「カルティエ」のブランドは外して販売した場合はどうなるか疑問が生じます。おそらくこの場合も、やはり違法な行為とされるはずです。
アメリカの判例ですが、他社のスポーツシューズの商標をはずして、自社の商標を付けたものを有名選手に履かせて、自社製品の宣伝活動に使っていた事案があります。勝手に商標をとった製品を使用する行為も違法とされたのです。
こう考えると、リメイク服から商標をとったとしても、やはり違法となりそうです。
実戦的には、どこまで注意すればいいの?
服のリメイクの場合、どこまでが「修繕」として許されているのか、微妙なところもあります。ほつれた部分を直すときに、すこしオシャレに手を加えたくらいなら、事実上たいして問題にはならないでしょう。
個人として使用したブランド品の服を、少し手を加えて売ったからと言って、何か言ってくるほどメーカーも暇ではありません。その意味では、同じ服を何着も購入して、同じようなリメイクをして、大々的に販売するような場合でなければ、それほど心配する必要もないと言えそうです。
その一方、有名ブランドになればなるほど、自社のブランド価値を守ろうと必死になります。それを考えると、有名ブランドのリメイク品の販売には、慎重になった方がよいことは間違いありません。
被害者になった場合は賠償金などを請求できる?
逆に、あなたの作った服が、リメイクされて販売されていた場合には、どのように対応すべきでしょうか?
一般的に、ブランド商品として認知されていないような場合、権利主張をするのは簡単ではありません。また、仮に法律上は賠償金を請求できるとしても、わずかな金額が認められるだけです。
そうはいっても、自分の服が勝手にリメイクされていては面白くないですね。そういうときには、弁護士などを通じて抗議するのがいいでしょう。違法であることを通知すれば、通常は販売を止めるはずです。