ハンドメイド作品としてリメイク服を販売するのはOK?

2017年12月1日更新

どこまで許される?

自分が着なくなったブランド物の服を、ネットで販売することは、普通に行われています。ヤフーオークションやメルカリなどで販売した人も沢山いるでしょう。それ自体は特に問題のない行為です。さらに、そういう服が傷んでいたような場合、少し修繕して出すことも、特に問題ないですし、現実によく行われています。
ところが、さらに一歩進んで、ブランド物の服を自分で改変したり、何かを付け加えて販売した場合には、法的に許されるのでしょうか?

判例はあるの?

有名な事件で、ある日本の企業が、カルティエの腕時計に、宝石を埋め込んで販売したものがあります。宝石を付け加えた腕時計を、そのままカルティエのブランで販売していたんですね。
裁判所は、この販売行為は、カルティエ商標の侵害になると判断しました。例えば、安っぽいダイヤを使っていた場合など考えると、確かにカルティエのブランドイメージを傷つけそうです。
それなら、腕時計にダイヤを付けるが、「カルティエ」のブランドは外して販売した場合はどうなるか疑問が生じます。おそらくこの場合も、やはり違法な行為とされるはずです。
アメリカの判例ですが、他社のスポーツシューズの商標をはずして、自社の商標を付けたものを有名選手に履かせて、自社製品の宣伝活動に使っていた事案があります。勝手に商標をとった製品を使用する行為も違法とされたのです。
こう考えると、リメイク服から商標をとったとしても、やはり違法となりそうです。

実戦的には、どこまで注意すればいいの?

服のリメイクの場合、どこまでが「修繕」として許されているのか、微妙なところもあります。ほつれた部分を直すときに、すこしオシャレに手を加えたくらいなら、事実上たいして問題にはならないでしょう。
個人として使用したブランド品の服を、少し手を加えて売ったからと言って、何か言ってくるほどメーカーも暇ではありません。その意味では、同じ服を何着も購入して、同じようなリメイクをして、大々的に販売するような場合でなければ、それほど心配する必要もないと言えそうです。
その一方、有名ブランドになればなるほど、自社のブランド価値を守ろうと必死になります。それを考えると、有名ブランドのリメイク品の販売には、慎重になった方がよいことは間違いありません。

被害者になった場合は賠償金などを請求できる?

逆に、あなたの作った服が、リメイクされて販売されていた場合には、どのように対応すべきでしょうか?
一般的に、ブランド商品として認知されていないような場合、権利主張をするのは簡単ではありません。また、仮に法律上は賠償金を請求できるとしても、わずかな金額が認められるだけです。
そうはいっても、自分の服が勝手にリメイクされていては面白くないですね。そういうときには、弁護士などを通じて抗議するのがいいでしょう。違法であることを通知すれば、通常は販売を止めるはずです。

この記事のライター

大山滋郎

横浜パートナー法律事務所代表弁護士(日本・ニューヨーク州弁護士)。日本企業に14年勤務した経験をもとに、会社の常識、一般人の見地で弁護士業務を行う。自らリスクをとる投資者の立場で不動産投資も積極的に行っている。月2回のメルマガ「企業の常識・弁護士の非常識」でも情報発信中。http://www.ypartner.com

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