老齢基礎年金を増やしたい人必見!「国民年金の高齢任意加入」とは?

2018年1月9日

人生100年時代ともいわれている昨今。長生きをすればするほど生活費の心配も大きくなってしまいます。
そんな老後の生活費を支えるのが公的年金。なんだかんだ言っても年金は老後の生活に欠かせない大切なお金です。そのためか「年金を少しでも増やしておきたい」というご相談をよく受けます。
そこで、今回は老齢基礎年金を少しでも満額に近づける方法国民年金の高齢任意加入」をご紹介しようと思います。

「えっ? 私の年金はこんなに少ないの?」

「えっ? 私の年金はこんなに少ないの? これじゃあ将来が不安だわ」
相談窓口にいらっしゃった50歳代の女性はそうおっしゃいました。
65歳からもらえる老齢基礎年金、いわゆる国民年金は満額で年額779,300円です(2017年度の金額)。しかし、現在50歳代でかつ女性のほとんどの方は満額の老齢基礎年金をもらうことができません。
その理由は、20代の学生の時期に国民年金保険料を納めていなかったり、結婚して専業主婦になる前まで国民年金保険料を納めていなかったり、退職して再就職するまでの間に国民年金保険料を納めていなかったりと未納期間のある方が多いからです。
現在は国民年金が未納の方には通知や電話がいきますが、当時は未納の方に連絡がいくことはほとんどなく、そのまま未納状態になっている方が多かったためです。
その結果、満額の老齢基礎年金をもらえる方は非常に少ないのです。
女性は男性よりも長生きをする傾向にあります。そのためか、女性のご相談者から「将来の長生きリスクに備えて少しでも年金を増やしたいです。何かいい方法はありませんか? 」というようなご質問をよく受けます。そのような方は、国民年金の高齢任意加入を検討してみるとよいでしょう。

老齢基礎年金を増やす方法「国民年金の高齢任意加入」とは?

国民年金保険料の未納部分は過去5年前までさかのぼって納めることができます。しかし、先程の女性のようなケースでは未納部分が5年よりもずっと前なので、当時の未納部分の保険料を納めて年金を増やすことはできません。
でも過去が駄目なら未来があります。
未納期間などがあって満額の老齢基礎年金がもらえない方のために、60歳から65歳までの間に国民年金にさらに追加で加入できる制度があるのです。この制度を「国民年金の高齢任意加入」といいます。国民年金の高齢任意加入をすることで満額に近づけることができるのです。
なお、国民年金の高齢任意加入は満額に近づけるための制度なので、すでに満額の老齢基礎年金がもらえる方はできません。また、再雇用などで60歳から65歳まで会社の厚生年金保険に加入している方もできません。ご注意ください。

支払い保険料ともらえる年金額。比べてみましょう。

60歳から65歳まで国民年金の高齢任意加入をした場合、どのくらいの保険料を支払い、どのくらいの年金がもらえるのか? 気になるところですよね。まずは支払い保険料をみてみましょう。
ひと月当たりの国民年金保険料は16,490円です(2017年度の金額)。
仮に60歳から65歳まで高齢任意加入をした場合、16,490円×12カ月×5年=989,400円を支払います。
次にもらえる年金額をみてみましょう。
5年間高齢任意加入をした場合、65歳からもらえる老齢基礎年金は約97,412円増えます(2017年度の金額)。
単純計算ですが、989,400円÷97,412円=約10年2カ月で元が取れることになります。
つまり、75歳と3カ月目からはもらい得ということになります。
50歳女性の平均余命は約38年、50歳男性の平均余命は約32年。女性は88歳まで、男性は82歳まで生きることになりますから、あながち損をしてしまうとは言い切れなさそうです。
参考:厚生労働省 平成28年簡易生命表の概況
国民年金の高齢任意加入の相談・手続きは、住所地の区役所の年金課、または年金事務所の国民年金課になります。
また、高齢任意加入の保険料は国民年金前納割引制度を利用することもできますので、少しでも保険料をお得にしたい、という方はあわせて相談するようにしましょう。
前納割引制度については前回のコラム『どうせ支払うならおトクにしたい! 国民年金前納割引制度とは?』でお話ししています。
国民年金の高齢任意加入は60歳から65歳までできますから、将来の年金を少しでも満額に近づけたいという方はぜひ検討してみてくださいね。

この記事のライター

浜田裕也

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。社会保険労務士会の業務委託で年金相談の実務にも携わるようになり、その相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請の仕方のアドバイスには定評がある。著書に「転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話」(SB新書 著・監修)、「日本でいちばん簡単な年金の本」(洋泉社 第3章監修)がある。

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