3月恒例「決算」って何?

2018年3月26日更新

3月末……というのは私たち税理士にとって一番気になる日です。なぜならその日を境に忙しい「繁忙期」に突入するからです。
どうして忙しいのか……それは「決算」の作業があるからです。
この「決算」という言葉はよく聞くのですが、世間では広い意味で使われているために、少し理解しにくいのも事実ですので、今日はその「決算」について少しお話しします。
結論から言いますと決算とは企業にとっての「儲け」を最終的に確定させる行為のことです。当然儲けを計算するには、その儲けが「いつからいつまでの」ことなのか決めないといけないのですが、日本の場合ほとんどの企業が3月決算を選択しているため、3月31日が「決算日」となるのです。
通常の会社の場合、毎月毎月の取引をタイムリーに記録しているので、3月31日の時点でおおむねの儲けは計算されているハズなのですが、それでも
①記録漏れや請求書がまだ来ないもの
②3月31日にならないと計算できないもの
があるため、これらの漏れや重複がないか確認して、キッチリ1円単位での正確な「儲け」を確定させることになるのです。これが「決算」ですね。
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具体的にはどのような処理をするのか

ではその「決算」の具体的な内容を考えてみましょう。
①記録漏れ、請求書がまだ来ない
従業員から提出漏れがある請求書や、4月に入ってから届く請求書を取り込む作業です。個人事業の方だと皆さんの財布の中に隠れている領収書を集める作業と言えばわかりやすいでしょうか。
②31日にならないと計算できないもの
これは代表的なものは以下のものになります。
1)減価償却
固定資産について「減価償却費」を計算します。会計の世界では、長期にわたり使用する大きな金額のもの(例えば建物や車)については、その使う年数に応じて割り算をして、今年の分だけ費用にする「減価償却」というルールがあります。そのためこのルールに基づいて「決算」の一環として今年分の減価償却費を計算します。
2)在庫棚卸(在庫金額の確定)
3月31日時点の在庫の数を実際カウントすることにより確認して、1年間の売上原価、つまりどれくらい商品が出荷されたかを確認します。商品がいくら出荷されたかを毎度毎度記録するのは実際面倒なのですが、
4月1日の在庫+1年間の仕入-3月31日の在庫
という計算方法で簡単に計算できるのです。4月1日の在庫は去年の在庫棚卸の数字を使えばよいし、1年間の仕入は仕入先からの請求書を見ればよいのです。
①に関して言えば「どうせ4月に買おうと思っているもの」であれば、早めの3月に買うことで、3月までの経費を増やし税金を軽くすることも可能です。ただその場合でも当然領収書の日付が3月31日以前である必要はあるので、その決断は3月31日以前に行う必要があるのです。
この仕事をしているとよく4月に入ってから「税金もうちょっと少なくなりませんかね」というご相談があるのですが、基本的に節税ができるのは「決算」よりも前になります。
皆さんもより効率的に節税したいのでれば、決算の少し前に税理士に相談する必要があるのでご注意を!
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この記事のライター

野瀬大樹

公認会計士・税理士。大手監査法人にて会計監査 、株式公開支援、財務調査、内部統制構築業務にかかわる。会計のプロとしての視点から家計のリストラに着手し、支出を1年で50%減らす。さらに自身の労働時間を年間1000時間減らす中で、所得の増加にも成功している。公認会計士協会主催の講習の講師も務め、小中学生に会計とお金の話をわかりやすく伝える授業には定評がある。著書に「20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとやばいですよ!」(クロスメディア・パブリッシング) 、「自分でできる 個人事業主のための青色申告と節税がわかる本」(ソーテック社)などがある。

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