親からもらったお金、税金がかかるのはどれ?

2018年7月18日

結婚資金、マイホーム購入資金、子どもの教育資金等のために親が子どものために資金援助をすることは少なくありません。
ただ、親が子どものためと自然な親心としてお金を出してあげた場合でも、一定額以上の金額になると贈与税がかかります。
今回は、親子間の贈与では、どのような時に贈与税の対象となるのか?また対象とならないのか?についてまとめてみますので参考にしてください。

贈与税の計算方法

贈与税は個人からお金等の財産をもらった時に、もらった側にかかる税金です。
贈与の方法には「暦年課税制度による贈与」と「相続時精算課税制度による贈与」の2つあり贈与税の計算方法も違いますので、それぞれの特徴、相違点をみていきましょう。

「暦年課税制度による贈与」の計算方法

暦年課税選択した場合、一人につき1月1日~12月31日までの1年間でもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税がかかります。税率は110万円の基礎控除差引後の金額により10%~55%となります。
1年間にもらった財産が110万円以下の場合には贈与税はかからず申告も不要です。

「相続時精算課税制度による贈与」の計算方法

相続時精算課税制度を選択した場合、贈与者ごとにその年の1月1日~12月31日までの1年間に贈与を受けた財産価格の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残りの金額に対して贈与税がかかります。税率は金額にかかわらず一律で20%となっています。
2,500万円までの贈与の場合、贈与税がかからないのですが、暦年課税と違い2,500万円の特別控除額以下の贈与でも申告は必要です。
申告期限は最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間で、その期間に申告書を提出する必要があります。
一年間で特別控除額を使い切れなかった場合には、一生涯に渡り2,500万円の特別控除額を複数年にわたって利用できます。
ただ相続時精算課税制度の適用を受けた場合、2,500万円までの贈与に贈与税はかかりませんが、相続時には名前の通り「精算」をすることになります。
「精算」の方法について説明します。贈与者がなくなった時には、相続時精算課税制度を使って贈与された財産も相続財産に合算してあらためて相続税額を計算します。そして、すでに支払っている贈与税額よりも相続税額が多い場合には差額を支払うことになります。逆に支払っている贈与税額が多い場合には還付を受けることができます。
相続時精算課税制度は、将来、相続税がかからないと想定しての贈与であれば有効といえるのですが、将来相続税がかかることが想定されるような場合、最終的には税負担はかわりませんのでご注意ください。

贈与税がかかる場合:生命保険の支払について

例えば、ご自身が保険料の支払いをせずに、ご両親が保険料負担をしている場合もあるかと思います。このような場合の満期金や、解約返戻金は、保険料を負担していたご両親から贈与があったものとみなされ贈与税の課税対象となります。
例えば、20歳以上の人で親が保険料を支払っていた保険契約から満期保険金500万円を受け取った場合、課税対象額は500万円-110万円=390万円となり48.5万円の贈与税がかかります。(計算式:390万円×15%-10万円=48.5万円)

贈与税がかからないのはコレ!

日常生活を送る上で、親が食費や光熱費など日々の生活費の負担協力、子どもの教育費、結婚資金等の援助をすることもあるでしょう。教育費では例えば学費や文具費、もろもろの教材費があたります。これらの生活費や教育費、結婚資金費用が必要となった時に「都度」充てられる場合には贈与税はかかりません。
ただ、将来の生活資金のために親からお金をもらい、そのお金を預金に預けて管理をするような場合には贈与税の課税対象となります。

贈与税がかからない親子間の贈与の特例

「直系尊属からの住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度」

子どもが父母や祖父母などから平成28年1月1日~令和2年3月31日に住宅取得資金のための贈与を受けた場合には700万円までの贈与資金が非課税となります。また、一定の省エネ・耐震性を備えた良質な住宅の場合の非課税枠は1,200万円まで広がります。
住宅資金にかかる贈与の特例は、贈与者の相続開始時に相続税の課税価格の加算対象とならないことも特徴です。

「直系尊属からの教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」

令和3年331日までの間に、両親や祖父母から教育資金の一括贈与を受けた場合に最大1,500万円まで非課税になる制度です。
贈与を受ける子どもの年齢は30歳未満ではあることが要件となっています。金融機関にお金を預け、教育資金口座から払い出しをする場合には、確かに教育資金に支払いに充てた証拠となる領収書等を提出して手続きを行います。
お金を受け取った子どもが30歳になり使い切れなかった部分については贈与税の課税対象となる点には注意が必要です。

「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の課税制度」

令和3331日までの間に、父母や祖父母から結婚や子育て資金の一括贈与を受けた場合に1,000万円まで非課税になる制度です。
贈与を受ける子どもの年齢は20歳以上50歳未満であることが要件となっています。金融機関にお金を預け、口座から払い出しをする場合には、確かに子育て資金の支払いに充てた証拠となる領収書等の提出が必要です。
お金を受け取った子どもが50歳になり使い切れなかったお金については贈与税の課税対象となります。また、契約期間中に贈与者が死亡した場合、残額は相続税の課税対象となるので注意が必要です。

まとめ

最近は「贈与の特例」によりまとまった資金を非課税で子どもに贈与できる制度もできていますが、引き出し時や使い残した分には贈与税がかかることもあり手間がかかるともいえ慎重に検討していただく必要はあるでしょう。
前述のように常識の範囲内で「都度」の資金援助であれば贈与税はかからないことはしっかり押さえておいてください。

この記事のライター

寺野裕子

CFPファイナンシャル・プランナー。てらの・ファイナンシャルプランニングオフィス代表。
「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーに、一人ひとりに最適なライフプランの実行支援を行うほか、講演活動も行っている。

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