
これから、ますます一人暮らし社会になっていくといわれている日本。人生100年時代において、心地よく安全な住まいを早く準備していくことは、より大切な課題になっていくでしょう。
マンションは快適ですが、やはり戸建てに住み続けたいという方も中にはいるのかもしれません。
マンションのように、我が家を安全に。井形慶子著『いつか一人になるための家の持ち方 住まい方』 より、年を重ねた後を見据えた住まいの準備に関するポイントをご紹介します。
家を整えて様々な心配事を払拭する
気力、体力がみなぎる40代、50代で「身の安全」「お金の安心」「心の平安」と、3つのポイントに絞って家を見直すことで、毎日の快適度は断然アップします。私自身、早い段階で家をつくり替えたのは、本当に良かったと思っています。
<3ページより引用>
イギリスの暮らしや家にまつわる本を多数執筆してきた著者。
本著は、いつか一人になるときを想定した家探しのコツや、手を加えて住まいを向上させるリフォームのヒントが多数まとめられています。
スタッフや仲間とともにわいわいイギリスに飛び、雑誌や本を執筆。吉祥寺に店を作ったりと、実にエネルギッシュに活動している著者も、40代に入った頃から心の片隅にはいつも心配事があったのだといいます。
それは、高齢期になったときのこと。一人になって自分はどこに住み、どんな風に暮らすのであろうか。離婚して孤独になった20代の経験がトラウマになったのか、大地震や凶悪犯罪への不安からか……。
そんな心配が尽きなかったといいます。この心配を解決するには、心安らかに暮らせる家を用意するしかないと考えた著者。
自分の住まいを高齢期に備えて、細々と整えるに至った経緯が記されています。
誰もが最期は一人。長くなった人生を、大好きな家で自分らしく生きる方法を今から調べておきたいものです。
90分で学べる、定年後の不安を解消したい方必見!
安全の観点で家を見直す
一人になったら、を考えると、戸建てに住む私が一番気になることはセキュリティです。お一人様道を進む友人らは「オートロックで管理人がいるから安心」と、戸建てからマンションへ引っ越しています。私はできうる限り今の家で暮らしたい。そこで住み慣れた戸建てに少しずつマンションのような機能を加えました。
<12ページより引用>
戸建てに住んでいるという著者は、自宅の1階すべての窓に防犯シャッターを設置。
費用は80万円ほどかかったのだといいます。その費用を30年で割ると一年間で2.7万円、長い目で見れば高くはないのかもしれません。
さらに、最新型のテレビドアホンを1万円で設置。イギリスでよく見る、人が出入りするとピカッと光る人感センサーライトも取り付けたと語っています。
イギリスに造詣が深い著者は、リタイア世代のイギリス人の家選びの条件やリフォームの仕方についても触れています。
イギリスの中高年のリフォームで、最も多いものの一つがキッチンなのだとか。収納棚が高くてものが落下したり、椅子から転倒するといった事故は、日本の風呂場での事故に匹敵するほど多いようです。
高齢期の一人暮らしを大前提に、セキュリティと転倒のリスクをカバーしていくリフォームのあり方が、万国共通のポイントであるといえそうです。
老朽マンションのリフォームも視野に入れる
吉祥寺や横浜、自由が丘など、人気の街で手が届くのは老朽マンションであると著者はいいます。
しかし、そのような物件は、立地はいいけれどあまりの古さに尻込みすることもあるようです。
しかし、水回りなど「管」と「間取り」をリフォームで整理することで、一人でも住みやすい暮らしは、低予算で実現できるのだといいます。
今も、これからも、安心して愛しんで暮らすことができる住まいの調整は、早いうちにしておくべきなのかもしれません。
タイトル: いつか一人になるための家の持ち方 住まい方
著者:井形慶子
発行:KADOKAWA
定価: 1,620円(税込)