生命保険は必要か?加入するとき決してやってはいけない意思決定の仕方とは?

2018年11月9日

生命保険に加入すると決める際に、保険商品を選ぶ以前に決してこのような意思決定の仕方をしないでほしいという点についてお話します。

生命保険加入率が海外と比べて日本が異常に高い!?

なぜ我が国日本人はやたらと生命保険に加入したがるのか?
まずはどのくらいの加入率があるのかと言うと、公益財団法人 生命保険文化センターの調査資料の平成30年度「生命保険に関する全国実態調査(速報版)」(平成30年9月発行)によれば、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は88.7%、世帯年間払込保険料は平均38.2万円。
つまり月におよそ3万2千円前後の保険料を支払っていることになります。
ほぼ9割の加入率ということです。
No2のアメリカでは加入率が60%くらいです。
ただしアメリカの場合は生命保険(死亡保障)ではなく、ほとんどが年金保険や医療保険です。
健康保険や国民健康保険が充実している日本と違って、アメリカは公的医療保険が無いので個人で医療保険に加入しなければなりません。
また加入者が支払う保険料も日本と違って約3分の1くらいで済ませています。
夫婦共働きが主流であるアメリカでは生命保険に加入するという傾向は希薄で、死亡保障に加入する割合は20%ほどの加入率 です。
こういうことからも、日本もすでに夫婦共働きが主流となりつつありますから、この生命保険加入率は高過ぎではないかと思われます。
No3はイギリスです。
イギリスは日本とさほど変わらない社会福祉制度があるのですが、保険料が日本より高いため25%程度の加入率 になります。
社会福祉制度が充実しているのになぜそれ以上の保障を求めるのか?といった日本人との考え方の違いがあるのでしょう。
こういった海外の生命保険に対する考え方の違いは、生命保険商品を検討するための選び方を考える以前の問題で、生命保険に対する意識の違いとも言えます。
これは日本人が不安の感情を抑えるために、安心の感情を高いお金を払って買うという傾向が強過ぎるからではないでしょうか。
このように「不安」にフォーカスすると、保険に対する掛け金は上限が無くなってしまいます。

生命保険は必要なのか?日本人の寿命から見る死亡保障の必然性は?

厚生労働省発表の平成29年簡易生命表(男)によれば、日本人男性40歳の人が亡くなる確率は1万千人にだいたい1人程度の0.010.1%と低い確率です。
正確な統計で見ると平成29年の簡易生命表では0歳誕生時の10万人を基準として現在生存中の40歳男性98,340人中の死亡率は0.099% 45歳男性でも97,771人中の死亡率は0.152%

参照:厚生労働省「平成29年簡易生命表(男)」
ご覧のように確率論で言えば、そう簡単に人は亡くなりません。
働き盛りでこの確率ですから、共働きが主流になりつつある現状を考えると死亡保障を必要以上に準備するあまり、現在の生活を困窮させるほどの生命保険の準備はナンセンスとも言えます。

保険の必要性を考える以前に、保険の営業手法に弱い日本人

日本の保険会社の場合、ある種独特の営業方法があります。
GNPと呼ばれる手法で、Gは義理、Nは人情、Pはプレゼント。
この手法に日本人は弱いところがあります。
会社や上司、あるいは親戚への義理で加入したり、させられたり、あるいは友人が保険営業をやっており、ノルマを達成しないとクビになるから助けてほしいと言われて人情で加入したりします。
なぜか社員食堂に毎日保険セールスレディーがいて、親しく話しかけられプレゼントをもらったりするからついつい加入せざるを得なくなったりします。
もちろん会社上層部から許可をもらって営業しているわけで、なおさら断りづらいという側面があるわけです。
しかし、加入後に彼らがあなたの代わりに保険料を支払い続けてくれるわけではありません。
保険に限ったことではないですが、特に心根の優しい人はこの手の営業手法に弱いのです。
海外ではこのような営業手法は通用しません。
なぜならば、海外では保険商品というものは株や証券のように金融商品として純粋に販売されているからです。

この記事のライター

末永健

家計の学校S.H.E代表。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP認定者。主婦層を中心に、家計の管理・節約と保険の見直し方・選択法の情報発信に特化した完全独立系ファイナンシャルプランナー。【A-LIP式必要保障額計算メソッド®(商標登録)】を考案。保険商品を販売しないFPとして、ネット上のみで真の情報を配信する異色のFP。著書に「書けばわかる!わが家にピッタリな保険の選び方」(翔泳社)がある。

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