さて、読者の皆さまは「銀行窓販」というワードをよくお聞きになるかと思います。今回はその銀行窓販についてお話しさせて頂きたいと思います。
銀行窓販とは
銀行窓販ですが、「銀行」の「窓口」で保険を「販売」すること、これを省略して「銀行窓販」と言います。必ず銀行の本支店の窓口で販売するというわけではなく、銀行が保険の代理店の役割を担う、という意味ですので、銀行員の訪問販売も含まれるわけです。また、広義では、銀行に限らず信用金庫や証券会社などの保険会社以外の金融機関での販売も含まれます。
実は、この銀行窓販の歴史はさほど古くなく、2001年4月から部分的に導入されて、すなわち、当時は銀行等で販売できる保険商品の種類が限られていて、2007年12月に全面解禁されました。その全面解禁からはまだ10年ちょっとなわけです。
では、なぜ銀行等は保険を販売するのか、というと、それは他の保険代理店(いわゆる「保険ショップ」と言われているものを含む)と同様に、保険を販売することにより、販売手数料を稼ぎだしたいからです。では、他の保険代理店と大きく異なる点は、銀行等の既存顧客の一部は多くの資産を保有していることです。
当然、このような顧客の方たちはこれらの資産を運用したいと常に考え、担当の銀行員などから運用商品を紹介されたりするわけです。その中で、銀行員は保険(おもに生命保険)を活用した運用商品を提案して、契約に至った際は販売手数料が保険会社から支払われる、という仕組みになっているわけです。
どのような保険を販売?
では、銀行窓販ではどのような保険を販売しているかというと、保険本来の目的である「万が一の際に備える」、すなわち、毎月少額の保険料を払っていって、万が一死亡等した場合に多額の保険金が支払われる、というものではなく、多額の保険料をまとめて支払って(このような保険を一時払保険と言います)、死亡等が発生しなくとも解約返戻金や満期給付金でお金を受け取れる、しかも、まとめて支払った保険料以上の解約返戻金や満期給付金となるものがほとんどです。これにより保険商品を使って、実質、資産運用をすることができるわけです。
もちろん、これらも保険ですので、万が一死亡等の場合には、死亡保険金も受け取れるようになっていますが、支払った保険料と比べると、それより若干高いくらいの保険金額であることが一般的ですので、本来の生命保険としての訴求力は強くないと言えると思います。
ただ、現在の日本では長期金利はほぼゼロであり、保険会社もこのように高い解約返戻金や満期給付金を受け取れるような保険商品を作ることができなくなってきました。そこで、より高い利回りを確保できるように、円建ての保険ではなく外貨建ての保険を開発して、それを銀行窓販で販売していくようになったわけです。しかし、ここで色々と問題が発生しており、その点については次回お話しさせて頂きたいと思います。