
僕は、大学を出てから37年間サラリーマンとして働いてきました。
一番高い役職で部門長というものを数年やりました。
大した実績も挙げられなかったのでその後降格になりました。
役職手当てがかなり下がりましたが、逆に心情的にはホットしました。
中小企業の部門長と言ったら、経営者と現場の板挟みで辛いだけでした。
これって大企業なら役職定年みたいなものだったのでしょうか?
でもそこでの経験は、無駄にはなりませんでした。
辛かった管理職時代に得たもの
一つはパソコンスキルが格段に上がったことです。
僕は、直営店部門の責任者になり、当時チラシや案内状など作るスタッフがいなかったので、全部自分で作っていました。
また企画書などもさっと作れるようになりました。
だから、ワード、エクセルに加えパワーポイント、パブリッシャーというソフトを使いこなすことが出来るようになりました。
それは、その後の業務やネットビジネスにも役立つスキルとなりました。
もう一つは、雇う側の論理が、少しわかるようになりました。
僕には一番多い時で30名ほどの部下がいました。
定年前の年上の男性社員から、20代の女性社員までいました。
彼らの働き方を管理する立場にあったわけです。
人を管理する立場になった気づいたことは、次の事でした。
立場によって変わる見方、考え方
同じ人間でも管理する側と管理される側では考え方、見方が変わるということです。
もっというなら人を雇う側と雇われる側でも同じことが言えます。
また、雇う側や管理する側にリスクがある、ということも強く感じました。
普通、雇われる側、管理される側が弱い立場と思われがちですが、雇う側、管理する側の人間が、人を見る目がなければ、下した判断に対し必ずしっぺ返しが来るということです。
僕が管理職の部門長だったころ、毎日真面目に出勤しているだけの社員を低く見ていました。
逆に、手こずるけど実績を上げる社員は高く評価していました。
でもそれが正しかったどうかはわかりません。
部署やチームは、人と人との組み合わせです。
出来るやつも出来ないやつもいる、その組み合わせの妙でチームとして実績を上げられるかどうかだと思います。
雇われない、雇わない働き方
僕は、入社以来37年間、休まず、遅刻せず、真面目に働いてきたことを誇りに思っています。
でも経営側は、単にそれだけの人間だと評価しているかもしれません。
雇う側は、雇われる側の欠点をつい見てしまい、雇われる側は、自分が評価されないことに不満を持ちます。
僕が残された人生を自営で働こうと思うのはまさにそれで、組織内での立場のよっての不安、不満が面倒になったからです。
雇われない、雇わない働き方は、サラリーマンだった人でも定年後だから出来ることだと思います。
起業したり、自営になったりしても大きな初期投資をしなければ、特に大きな売り上げを挙げなくでも具体的には月10万程度でも年金などと合わせればなんとかなります。
最後に
再雇用制度を利用すれば、あと3年ほど働けます。
それを止めることに対して、もったいないという人も何人かいました。
でも管理する側とされる側、両方経験した僕は、管理もされない、管理もしない生き方、雇われもしない、雇いもしない生き方をして行くことにしました。
何年続くかわかりません。
でも、尊敬する大江英樹氏の著書にある、大江氏自身がクロアチアの城壁で見つけた言葉、「どんなに黄金を積まれても決して自由を売り渡してはいけない」(原語はラテン語)という言葉が心に突き刺されました。
現代の日本のサラリーマンにおいて、定年こそこの言葉を実践できるチャンスだと思います。