お金持ち、といえばまずは「稼ぐ力」が高いことがすぐ思いつきますね。
そこで、平成28年(2016年)の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」による都道府県別の収入の平均の順位を調べてみました。
想像通り、よく稼ぐ県民の第1位は東京都民です。やはり、日本の首都・東京はお金持ち県ナンバーワン!と思われます。
では、負債額を見てみましょう。以下のデータは、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)―平成28年平均結果速報―(二人以上の世帯)」を参照しています。
負債が多い5県
ワースト1位の秋田県民は、東北人には珍しく享楽的な県民性。おしゃれや新しいものが大好きです。頼まれると嫌と言えず、お金を大雑把に使いがち。それが借金の高さに直結しているともいえます。男性の自殺率が全国一(2016年警視庁調査)の県でもありますが、借金など金銭的な問題との相関性が指摘されています。
そして、東京都は、負債が多い県第2位にランクイン。地価が高く住宅ローンが高額にのぼることが一因と思われますが、貯蓄額はどうでしょうか。
貯蓄額が多い5県
貯蓄額トップ5からは、東京都は見事に姿を消しています。
つまり、東京都民はまさに「宵越しの銭は持たない」を実証した形に。稼ぎは多くても全部使ってしまうのでは、「お金持ち」県とは言いにくいですね。
そこで、1世帯当たりの平均貯蓄額から、平均負債額を引いた正味の金融資産「純貯蓄額」のランキングをもとに、「貧乏県民」「お金持ち県民」を認定したいと思います。
「貧乏県民」の特徴とは?
純貯蓄額が少ない県
ワースト2位の青森県も、テレビの視聴時間が日本一など、長い冬をテレビを見ながらひっそりと暮らしている様子が想像でき、アクティブに稼ぎに行く気質は薄い地域のようです。
純貯蓄額最下位は沖縄でした。収入の少なさが影響していると思いますが、沖縄は、細かいことは「なんくるないさー」と笑い飛ばしてしまう明るい県民性。互助組織としての「門中」と呼ばれる血縁組織があり、困ったときは親類縁者に頼れるため、そもそもお金に対する興味が薄い県民性です。
同調圧力が強めの土地柄で、ひとり頭抜けるよりは仲間同士で助け合っていこうという発想が生まれやすいのかもしれません。それが個々人の金融リテラシーの発達を妨げている可能性も高そうです。
「お金持ち県民」の特徴とは?
純貯蓄額が多い県
純貯蓄額トップは神奈川県でした。神奈川県民の県民性は、おしゃれを好み、バリバリと仕事をこなすビジネスパースンが男女ともに多いのが特徴。箱根や湯河原などの温泉地、横浜の中華街、江ノ島などで観光需要も生まれます。また、昼間は東京で働き、葉山や鎌倉の高級住宅地に帰宅するというライフスタイルの高所得者が集まります。その上、東京ほど生活費もかからないというコスパの良さが、日本一の「お金持ち県」の由来かもしれません。よく稼ぎ賢く使う人が多いといえます。
存在感を放っているのは2位の奈良です。負債が少ない県としても4位にランクイン。実は、金融リテラシーが高い県(2016年金融広報中央委員会調べ)においても奈良県は1位を獲得しています。
最近は大阪府のベッドタウン化が進んでいますが、奈良県は飛鳥時代に都がある古の地。悠久の時を感じさせるスローモーな県民性です。しかし、アルコール消費量やパチンコ店が全国で一番少ないという統計が示すとおり、ギャンブルを好まず、長期的にお金と向き合える堅実さが、貯蓄高の高さとなっているのでしょう。
お金持ちになるには、稼ぐ能力はもちろんですが、損得勘定ができ、金融リテラシーを高めておく必要がありそうですね。
さて、あなたの県はランクインしていましたか?
参考:
平成28年(2016年)の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)―平成28年平均結果速報―(二人以上の世帯)」
厚生労働省「平成28年中における自殺の状況 」
金融広報中央委員会「金融リテラシー調査(2016年)」