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金融機関が「顧客の利益を考えはじめる時代」元年。

2017.5.7

 

「皆様は、こうした状況をいつまでお続けになるつもりですか?」
そう投信業界の方々へ強い批判をした、森金融庁長官。

今日、この森金融庁長官が金融機関に行った講演内容が、日経新聞朝刊の一面記事となりました。

>> 投信不信 迷うマネー
>> 金融庁批判で「毎月分配」自粛 14年ぶり資金流出

 

この記事は、ちょうど一ヶ月前に行われた「日本の資産運用業界への期待」という森金融庁長官の基調講演の内容が引用され、金融機関が顧客(消費者)の利益を考えず、金融機関が儲かる投信ばかりを顧客に勧めているのが我が国の問題だ、という内容です。

かなり衝撃的な内容ですが、資産運用に関わる人はもちろん、貯金だけしかしない人でも理解すべき、とても良い内容です。

「日本の資産運用業界への期待」 森金融庁長官基調講演
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20170407/01.pdf

 

要約すると、森金融庁長官は金融機関に対して、このようなメッセージとして出しています。

・金融機関は、「顧客本位の業務運営」をしてください
・顧客である消費者の利益を顧みず、金融機関の売り手の利益だけを上げるという論理がある社会はおかしい
・お金を預けた人の成功体験(=利益を出す)がないから、みんな怖がって撤退していく

と言っています。

さらに読み進めると、金融商品自体が、消費者(顧客や投資家)のために組成されていないことも理解できます。

・日本の投資信託は手数料率が高すぎて、投資家が利益を上げるのが容易ではない
・将来のための積立をNISAで行う際、残高の大きい投信の上位30本中29本は手数料が高すぎて対象外
・一方で米国では、10本中8本は手数料が低く積立NISAの対象となるマーケットである

 

私が15年前、この金融経済教育の学校を立ち上げた理由。それは、中立的な金融の知識を学べる場がなく、その場が必要だと思ったからです。

お金や投資の本を読んでも、セミナーに参加しても、単なる一人の成功体験だったり、売りたい金融商品が見え隠れする色の付いたタイアップだったり。。

一人の成功体験はモチベーションアップにはなりますが、体系的に整理されていないので、再現性がありません。売りたい金融商品があるタイアップセミナーは、金融機関の収益アップにはなりますが、それは私たちの損失に直結することを意味します。

そして、金融の情報を正しく判断できない私たちの多くは、「投資は危険」「投資に手を出すと人生を棒に振る」などと考え、避けるようになっていきます。

 

本来、資産運用も、そして金融の知識も、生きていく上でとても大切なものです。私たちが小さな頃から学んできた読み書き算盤と同じくらい重要で、私たちの夢や人生そのものを支えてくれるものになります。

それを私たち個人がしっかり理解して、そして金融機関からも正しい情報を発信していくことで、顧客も利益を享受でき、金融機関も市場が広がることで持続可能な社会となっていきます。

森金融庁長官の発言をきっかけに、顧客の利益を考えはじめる時代が始まれば、将来不安のない社会が訪れるのではないか、と考えています。

著者プロフィール


泉正人

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークでスクール運営を行い、義務教育で教わらない「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着を目指している。

『お金原論』(東洋経済新報社)、『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、 株式会社FLOC代表取締役、 一般社団法人金融学習協会理事長。



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