小学生でもわかるビットコイン④ 先生!僕のビットコインが盗まれました

2017年10月28日

<前回のあらすじ>
ビットコインが欲しい小学生サトシ(12)は、母親の美奈子(38)からビットコインの入手方法、歴史、独自の管理システムなどを教わり、ビットコインの知識をどんどん深めていった。しかしその矢先、学校のクラスメイト・ノリタケくんのビットコインが盗まれるという事件が発生!ホームルームで起きた出来事をサトシは美奈子に報告することに。
「ママ今日ね、学校で悲しいことがあったんだ。」
「どうしたの? 好きな子にでも振られた?」
「そんなんじゃないよ!それよりも悲しいこと。」
「なによ?」
「ノリタケくんが僕にくれるかもしれなかったビットコインがなくなったと言ったんだ。」
「あら、そうなの?」
「そうなのじゃないよ。僕ノリタケくんに優しくしてたから、絶対、あのビットコインは僕のものだと思ってたのに……。目にも見えないし、手でも触れられないってママは言ってたのに、いきなりなくなるってどういうこと?」
「ノリタケくんは、なくなった理由を話してた?」
「知らないって。ハッカーに盗まれたかも?とか話してたよ」

ビットコインは半永久的になくならない

「ビットコインというのは一度発行されたらネットワーク上からは、なくならないの。目の前から、なくなったとしても、どこかにはあるのね。」
「そうなの?」
「だから、ビットコインが消失する理由には2つの状況が考えられるわ。ビットコインを保有するには、ビットコイン財布(ウォレット)※っていうのが必ず必要になるんだけど、その財布から“消えた”“取り出せない”か。」
※注)ビットコイン財布はソフトウェアです。

他人の財布からどうやってビットコインを盗んだのか

「消えるの……?」
「その財布からだけね。ネットワーク上には存在しているけど、誰の元にあるか特定はできない。そういう感じね。」
「なに、それ? どういう意味?」
「ハッカーっていうのはね、まず狙った相手の財布の秘密の鍵を手に入れるの。その秘密の鍵があればビットコイン財布を開いて、中に入っているビットコインをハッカー自身の財布にこっそり送信することができるのよ。気づいた時には財布の中は空っぽ。」
「でもさ、その送られた先の財布の持ち主がハッカーなんだから、捕まえられるじゃないの?」
「ビットコインというのは、匿名性っていってね、ビットコイン財布から持ち主を特定できない仕組みになってるの。」
「ほんとに!?」
「そう、そうやって不正操作をされて送金された場合は、取り戻すことが難しいの。だから、ハッカーが侵入できないようにビットコイン財布と秘密の鍵をそもそもネットワークと繋げないようにして、外部に取り出して管理している人も大勢いるのよ。」
「ネットワークでしか使えないお金なのに、ネットワークから切り離すの?」

ビットコインは取り出せない

「そうよ。でもね、もし、外に取り出した後にビットコイン財布をなくしたり壊したり、秘密の鍵を忘れたりしたら、その時もビットコインは使えなくなってしまうの。
ネットワーク上には存在しているんだけど、アクセスできないから、絵に描いた餅みたいな状態ね。昔、イギリスである若者がビットコイン財布の入ったコンピューターをハードディスクごと捨ててしまったっていうことがあったの。」
「え?それは、どうなったの?」
「彼はずいぶん安いときに買って忘れていたのを、値上がりした後に気づいたらしくて……血眼になって探したけど見つからずじまい。現在価格なら数十億円というから、相当悔しかったと思うわ。」
「じゃあ、ノリタケくんのビットコインは、今はどうなってるの?」
「どうかしらね?話を聞くと誰かの元に送られたっぽいけどね。」
「すごいよ、ママ。」
「どうして、サトシ?」

「今日、それでホームルームで、ノリタケくんのビットコインの話になったんだよ。ノリタケくんが先生に言ったらしくて。『ノリタケのビットコインをとった人は怒らないから名乗り出なさい!』という話になったんだよ。」
「面白いわね、その展開。」
「そしたら、ノリタケくんが急に、僕の秘密の鍵を知っている人がいます、と言い出したんだ。

そこで、ノリタケくんが指さしたのが、僕だったんだ。」

<サトシがわかったこと>
1、ビットコインはなくならない
2、ビットコインが盗まれるとは、自分の財布から勝手に別の財布に送信されること

この記事のライター

ルウ・ハイアン

文筆家・歴史家として各メディアに寄稿。投資家としての側面も持ち、投資界隈の話題には事欠かない。また経済のトピックを誰にでもわかるように話す技術には定評がある。映画や書籍、または海外ゴシップにも精通している。日本語の他に、中国語・英語も堪能。

About the author

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「お金の勉強」をはじめたい!

まずは、無料体験セミナー

自宅に居ながら資産運用の勉強がはじめられる。
気になるセミナーを選んで、授業を「体験」してみよう!

無料体験セミナーを見る(無料)