手持ちの資産を増やしたいなら金融商品への投資が効率的です。メジャーな金融商品としては、「株」があります。また、最近では「仮想通貨」も金融商品としてメジャーになりつつあります。
これまでに築いてきた資産をできる限り堅実に増やしたいなら、安全な金融商品に投資したいところです。では、株と仮想通貨を比べた場合、どちらの金融商品が低リスクで投資できるのでしょうか。さまざまな観点から比較してみましょう。
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株と仮想通貨 変動率が高いのはどっち?
はじめに、株と仮想通貨の変動率で比較してみます。株の場合、多くの銘柄を見渡してみると、前日比での値上がり率、または値下がり率は、数パーセント程度にとどまることがほとんどです。
株の銘柄によっては、前日比で10%を超える変動がみられる場合がありますが、よほどのことがなければ変動率が二ケタを超えることはまれと言えます。
一方、仮想通貨の場合、前日比での変動率が10%を超えることが高い頻度で見受けられます。一例として、ビットコインの値動きを示してみると、2018年11月14日の時点では、70万円をやや上回る程度でしたが、日付が変わって15日になった途端、60万円に近づくほど急落しました。
仮に、ビットコインの価格が70万円から60万円に急落した場合、下落率を計算するとマイナス14.3%となります。
これまでも、仮想通貨の価格は急騰と急落を繰り返してきました。株と仮想通貨について変動率の面で比較するなら、安全性が高いのは株と言えるでしょう。
株と仮想通貨 レバレッジが高いのはどっち?
次に、レバレッジについて比較します。投資におけるレバレッジとは、より少ない資金でより多くの金額を投資できる仕組みのことです。レバレッジを利用する取引は「信用取引」と呼ばれています。信用取引では保証金(または証拠金)を証券会社、もしくは取引所に預けることによって、保証金の金額以上の取引が可能となります。
レバレッジは、3倍や5倍のように、倍数を用いて表現します。例えばレバレッジが3倍の場合、保証金の3倍の額まで取引を行えます。
多くの証券会社において、株の信用取引におけるレバレッジの上限は約3.3倍に設定されています。そのため、株の信用取引を行う場合、約3.3倍を超えるレバレッジをかけることができませんが、見方を変えれば、株の信用取引におけるレバレッジは、低めに抑えられていると言えます。
一方、仮想通貨の信用取引におけるレバレッジは、仮想通貨の取引所によって異なっています。一例をあげると、DMMビットコインはレバレッジが5倍に設定されているのに対し、ビットバンクトレードでは、レバレッジが最大20倍に設定されています。
このことから、仮想通貨のレバレッジ倍率は高く設定されており、株のレバレッジ倍率は低く設定されていることが分かります。レバレッジが高ければ、大きく儲かりやすい反面、損失が発生すると、レバレッジをかけた分だけ損失が拡大してしまいます。
レバレッジの倍率で比較した場合、株の信用取引が安全と言えます。
株と仮想通貨 少額で投資できるのはどっち?
ここまでの流れでみると、仮想通貨よりも株の取引が安全なようにみえますが、もう一つの切り口から比較してみましょう。その切り口とは「売買単位」です。
株の売買単位は「100株」となっています。2018年9月までは、売買単位が1000株のものもありましたが、10月からは100株に統一されています。
株価の多くは数千円台となっていることがほとんどで、数百円で買える株は少なくなっています。このことは、見方を変えれば株を購入するためには数十万円、少なくとも数万円を投資する必要があるのです。
仮に、3000円の株式を100株購入した場合、投資額は30万円となりますが、3000円の株が4%下落すると2880円となり、投資した30万円が28万8000円に目減りしてしまうことになります。
なお、株は「ミニ株」として、100株以下で購入できる場合がありますが、「ミニ株」を扱っている証券会社は少ないのが現状です。
一方、仮想通貨の場合、売買単位が株式よりも小さく設定されています。ビットコインの最小注文数は取引所によって異なりますが、一例をあげると「ビットバンク」の場合0.0001となっており、ビットコインの価格が70万円であれば、70円から取引することが可能となります。
仮想通貨を少額だけ購入して取引する分には、仮想通貨価格の変動率が大きく、仮に暴落した場合でも、大きな痛手を受けずに済むのです。 例えば、ビットコインを日本円で700円分購入した場合、1日で20%価格が下落したとしても、140円の損失で抑えられます。
少額投資で損失額を抑えやすいのが、仮想通貨投資のメリットと言えるでしょう。
安全であるかどうかは、投資する人の心構えしだい
変動率やレバレッジの面からみると、株の方が安全となりますが、株の場合は最小の購入金額が多額となりやすいため、変動率が小さくても大きな損失が発生する場合があります。
反面、仮想通貨の場合は変動率が大きくなりやすいものの、投資額を抑えれば損失を少なくできます。
つまり、安全に取引できるかどうかは、投資する人の心構えしだいと言えるのではないでしょうか。株も仮想通貨も、投資商品である以上リスクは存在します。リスクを十分に認識した上で、堅実な取引を行っていきましょう。