前回のコラムで、いくつかの「偶然」が重なった結果の運命的な流れとして、ストックフォトとの出会いについて書きましたが、写真に興味がなかったわけではありませんでした。むしろ学生時代にはかなり興味を持っていた大好きな分野でした。
数年前、中学時代の同窓会があり、そこで言われた言葉があります。
「てっきりカメラマンになってたかと思ったよ」と。
そうなんです、中高生の頃は写真大好き少年でした。最初は父のカメラ(キャノネット)を借りて、何も考えずに撮るだけでしたが、そのうち自分のカメラが欲しい、自分で写真を現像してみたいと考えるようになりました。
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お小遣いを貯めて初めて買った ミノルタSRT101
あの当時、母がやっていた内職の手伝いをしてお小遣いとしてもらったお金を貯めて、ついにミノルタSRT101という一番レフカメラを買ったのです。
さらに、自分でモノクロ写真を現像したいと思い、引き伸ばし機を中学生のころ手作りしました。段ボールや市販のレンズを組み合わせて作ったのですが、今考えるとよくぞ作れたもんだと我ながら驚きです。
ただし、レンズの性能もあったかと思いますが、写真の引き伸ばしには成功したのですが、ソフトフォーカスがかかったような、いまひとつ鮮明さに欠ける写真になっていました。
そんな私を見て、両親も同情してくれたのか、そこまで頑張るならと新品の引き伸ばし機を買ってくれたのです。それ以来、写真にのめり込みました。
近所の写真店の店主との出会い
あのころ、といっても昭和50年前後でしょうか、まだモノクロ写真も一般的な時代でした。それでもカラーの写真もたびたび撮り、近所の写真店に持って行って現像してもらっていました。
当時、ほとんどの写真店はラボに現像を依頼して、封がされたままの写真をお客さんに渡します。しかし、たまたま私の写真をその近所の写真店の店主が目にする機会があって、「今度新しい写真を撮ったら見せてくれないか」と言われたのです。
言われた当初は、なんでだろう?と不思議な感覚しかありませんでした。
でも、次の現像が出来上がったときから、その店主に写真を見てもらうようになりました。
店主は毎回、かなりじっくりと時間をかけながら私の写真を見てくれて、ここはこうした方がいいとアドバイスをくれたのです。30分以上の時間をかけてくれて。
いわば人生最初の写真の師匠が、あの店の店主だったのです。あのころのアドバイスは、今でも覚えていて、シャッターを押す瞬間に店主の言葉がよみがえることがあります。
「風景の中に人が一人でも入ると、その人物が写真の中で強い主張をするようになるから注意した方がいい、人の位置とか歩く方向とか」
「この写真で何を見せたいのか、何を見てほしいのかをはっきり意識すること」
「被写界深度って知ってるか?どこにピントを合わせるのか、それも大切」
空と雲の写真を撮りなさい
そんな店主が、私のカラー写真を大きく引き伸ばして店頭に飾ってくれたこともありました。さらに、写真のコンテストに出してみるといい、と勧めてくれたおかげで、中高生のころは何度も写真コンテストで入賞することもできました。
店主からのそんなアドバイスがなかったら、写真コンテストに出すこともなかったはずです。私の人生にとって、非常に大切な出会いでした。
PIXTAでストックフォト活動を始めるときに、真っ先に思い出した店主の言葉が「空と雲の写真を撮りなさい、空も雲も面白いぞ、こんなに面白い被写体はないから」でした。
今でもその教えを守り、いつも空を見上げながら写真を撮る日々が続いています。
PIXTAでの人気の「空」と「雲」は?
さて、PIXTAに登録している空と雲の人気素材をご紹介します。
この写真は、2015年8月に千葉県の九十九里浜で撮影した、青空と入道雲の写真です。
さて、2枚目の空と雲の写真です。
この太陽と青空のストックフォトは、PIXTAに登録している空の写真の中では、最も多く売れている人気素材です。個人的には、いまひとつ鮮明さがないのが不満なんですが、なぜか人気です。
【ここがポイント!】
写真を撮るときに意外と気づかないままシャッターを押してしまうのが、水平を維持して写すということです。水平線、地平線などが構図に入っている場合なら、画面内で水平の確認ができますが、そんな構図でなくても立木の角度、建物の角度などから水平を確認しましょう。せっかく素晴らしいシーンが撮れても、傾いた構図では台無しになってしまいます。今では画像ソフトで水平の調整はできますが、そんな手間をかけるよりシャッターを押す瞬間に水平を意識するほうがはるかに簡単です。