失業保険は自己都合と会社都合でもらえる額(期間)が大きく違います。自己都合で辞めたと思っても、実は会社都合と認められるケースがあるのです。これから紹介する項目をチェックして、当てはまっている項目があったら、会社都合で申請してみましょう。
失業保険(雇用保険)の基礎知識
受給条件
会社を退職した場合、誰でも失業保険が受けられるわけではありません。受給するには以下の条件があります。
・離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12カ月以上あること。※
・働く意思があり、求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就くことが出来ない状態にあること。
※特定受給資格者(倒産、解雇などにより離職した者)及び特定理由離職者(事項で説明)は、離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が6カ月以上あれば受給できる。
つまり、結婚退職してしばらく家でのんびりしたい人は失業保険は受給できません。
妊娠が理由で退職した場合は、受給期間の延長手続きをハローワークで行うことで、最長4年まで延長できるようになりました。子育てが一段落した頃、再就職を目指して求職活動を始めれば、失業保険を受け取ることができるのです。
給付日数と受給期間
失業保険の基本手当を受給できる日数は、離職理由によって違います。大きく分けて、自己都合と会社都合に分かれますが、雇用保険に加入していた年数や年齢によっても違いがあります。
会社都合による離職者というのは、倒産、解雇などにより離職した特定受給資格者と特定理由離職者(次の項目で説明します)を指します。
受給期間は原則1年間です。この期間を過ぎると、たとえ給付日数が残っていたとしても打ち切られてしまいます。そのため、病気やケガ、妊娠などで、働けない状況になった時は、申請期限までに延長の手続きを行いましょう。最長4年、受給期間を延ばすことができます。
支給されるまでの待期期間
自己都合退職も会社都合退職も求職の申込みをしてから7日間の待期期間があります。その後、会社都合の場合はすぐに支給が開始されますが、自己都合の場合はそこからさらに3か月の給付制限があります。
この3か月プラス1週間、自己都合退職をした場合は無収入になるわけですから、なかなか厳しいものがあります。
自己都合と思っていたけれど、会社都合だった!?
自分では自己都合退職と思っていたけれど、その退職に至るまでの理由によっては、会社都合と認められるケースがあるのです。
これは特定受給資格者、あるいは特定理由離職者と認められた場合がそれにあたります。以下に当てはまりそうなものがあれば、ハローワークに申し出てみましょう。
特定受給資格者
・契約した労働条件と著しく相違があった
・賃金が85%未満に低下した(低下の事実について予見し得なかった場合に限る)
・離職する月の前6か月間のうち3月連続して45時間、あるいは1月100時間または2月~6月平均で80時間の時間外労働があった
・妊娠、出産、子育て、介護などで、制度の利用を制限された、あるいは、制度を利用したことで不当な扱いを受けた
・労働者の職種転換などに際して、事業主が必要な配慮を行わなかった
・就業環境が著しく害される言動を受けた
・直接もしくは間接に退職するよう勧奨を受けた
・事業所の業務が法令に違反している
特定理由離職者
・期間の定めのある労働期間が満了し、更新を希望したにもかかわらず、労働契約の更新がなかった
・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などが原因の離職
・家族の死亡、介護などが原因の離職
・家族との別居生活が困難になったことが原因の離職
・自己の意思に反しての転居(結婚に伴う住所の変更も含む)により通勤が困難になった
・事業所の移転により通勤が困難になった
・事業主の命による転勤または出向に伴う別居を回避するための離職
注意すべき点は、これらに当てはまっていると思っても、会社都合になるかどうかの判断は、公共職業安定所が行います。事業主が主張する離職理由と離職者が主張する離職理由、両方を把握し、それぞれの主張を確認できる資料による事実確認を行った上で最終的な判断を下します。
そのためにも、事実を確認できそうな資料はとっておきましょう。退職後に資料集めをすることは困難な場合が多いので、日頃から記録を取る習慣をつけておくといいですね。
最後に
今は仕事が楽しくて、失業保険なんて無縁と思っていても、急な部署異動など、将来何が起こるかわかりません。
また、今仕事辞めたいなぁと思っている人も、辞めたい理由を冷静に考えてみると自分側の問題だけではないかもしれません。
そうした時に、これらの知識があるとないでは、大きく変わってくるでしょう。離職理由については是非チェックしてみてくださいね。