世帯収入1,000万円の家庭には、夫か妻のどちらかが収入1,000万円のパターンと、夫婦二人の収入を合わせて1,000万円のパターンなどがあります。
生活に余裕がありそうに見える、この世帯収入1,000万円の方々が「お金に余裕がない」というセリフを口にする理由をご存じでしょうか。
世帯収入1,000万円家庭のお金事情についてご紹介します。
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世帯収入1000万以上の家庭の実態
日本の給与所得者の中で、収入1,000万円超の方の割合は5%(900万円超の方の割合は6.9%)です。900万円超1,000万円以下の方の割合が1.9%、1,000万円超1,500万円以下の方の割合が3.6%であることから、年収1,000万円前後の方という視点でも、およそ5%となります。
出典:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
さらに、夫婦共働きで1,000万円の世帯収入となる家庭もあります。平均給与が約441万円、正規雇用に限ると約504万円であることから、夫婦ともに正規雇用であれば世帯収入1,000万円を実現するハードルは下がります。
世帯収入1,000万円の方々の、こんな声を聞いたことはありませんか。
・税金ばかりとられて損だ
・お金に余裕なんてない
これらの具体的な理由について、続けてご紹介していきましょう。
世帯収入1,000万以上でも「お金がない」ワケ
税金や社会保険料の額が上がる
税金や社会保険料は、給与(所得)が高くなるにつれ上がる仕組みとなっています。
あるモデルケースの収入1,000万円の方が負担する税金、社会保険料
・所得税:760,500円
・住民税:599,000円
・社会保険料:1,450,000円
(下記数値をもとに算出)
給与所得控除額:220万円(1,000万円×10%+120万円)
所得税基礎控除額:38万円
住民税基礎控除額:33万円
社会保険料の保険料率:健康保険料率5.35%、厚生年金保険料率9.15%、雇用保険料率0.3%
社会保険料の健康保険料率は運営元や都道府県によって変わります。上記モデルケースでは40歳以上の人にかかる介護保険料分も含めています。
出典:厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します」
「雇用保険料率について」
出典:国税庁「No.1199 基礎控除」
「No.2260 所得税の税率」
年収1,000万円から所得税・住民税およそ136万円と社会保険料145万円を差し引くと、およそ719万円の手取りとなります。
なお、所得の控除額は世帯の状況(配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除など)によって変わります。参考となるモデル世帯別の所得税負担目安もご紹介しておきましょう。
・単身の世帯:140.3万円
・夫婦のみの世帯:129.3万円
・夫婦子1人の世帯:118.2万円
・夫婦子2人の世帯:100.9万円
出典:財務省「税率・税負担等に関する資料」
無意識に生活水準を上げてしまう
年収1,000万円の世帯には、友人つき合いによって「家を購入した」「素敵なレストランでランチしましょう」といった話が入りやすい傾向があります。
買って買えないこともない、使おうと思えば使えないこともないという収入層のため、無意識に生活水準を上げてしまうリスクがあるのです。また、クレカ払いが多めであれば、格上カードのインビテーションが届きやすくなります。
子どもの教育費が高めになる
年収1,000万円世帯には、生活水準高めの世帯が多い地域に居住する傾向があります。そのため、近隣の影響で子どもの学校選びで私立を選択するケースが増える、子どもが習い事をしたがるなどで教育費が増える可能性が高いでしょう。また、親自身が私立出身という世帯も少なくありません。
公立と私立の学校による学習費の差(学校外活動費含む)は、幼稚園では2.4倍、小学校では5倍、中学校で2.9倍、高校で2.1倍が目安です。幼稚園から高校まですべて公立か、すべて私立かで学習費総額は1,000万円以上変わります。
出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
住宅ローンの負担が重めとなる
住宅ローンを組むときに金融機関から借り入れできる金額は、年収を基本に審査されます。世帯年収が高いほど借入可能額も多めとなり、土地代の高いエリアを選ぶ、間取りや素材にこだわった家を選ぶなどの条件を上げてしまうことで住宅ローン負担が重くなるリスクがあります。
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同じ収入でも「余裕」をつくることができている家庭の特徴
1、先取り貯蓄をしている
余裕を持った収支を保つ家庭では、先取り貯蓄の仕組みができているパターンが多く見られます。先取り貯蓄額を決めてしまうと残ったお金での身の丈に合った生活をしやすくなり、健全な家計を維持しやすくなります。
2、メリハリ出費を徹底している
年収1,000万円の層であっても、周囲が想像するほどは贅沢をしていません。ファストファッションブランドの利用は当たり前、スーパーのお買い得品も普通といった家庭も少なくないでしょう。
その上で、子どもの教育費にはお金をかけるとか、好きな車には乗るとか、家族の誕生日には少し贅沢をするとか、家庭ごとの価値観に合わせて、かけるべきところにはかけるメリハリ出費を徹底しています。
3、資産運用をしている
余裕を持った収支を実現している収入1,000万円世帯の家庭では、余裕資金で資産運用をしているという声も聞かれます。低金利時代ということ、そしてインフレに備えるという視点においても資産運用は検討してよい価値があります。感染症などの原因で株価や為替が激しく動く時期にもストレスとならないよう、余裕資金だけを回す資産運用を検討しましょう。
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