「医療保険」は「生命保険」とは違うんです!アクチュアリーがわかりやすく解説

2018年9月14日

前回は、第一分野、第二分野、第三分野という保険の分類、および、医療保険は第三分野に属することをご説明致しました。
今回は、医療保険がどのような保険であるかについてご説明したいと思います。
まず最初に、私の知る限りのものであり恐縮ですが、医療保険がどのような保険であるかが、法律等で明文化されていないと思います。ですので、世間一般的に「医療保険」という名前で販売されている保険商品がどのようなものであるかについてご説明致します。
「医療保険」という名前ですので、医療に関する保険ということはわかります。ただ、この「医療」という言葉も実はあいまいです。こちらも特に法律等で明文化されていないと思いますが、一般的に、広義の意味では、健康維持や疾病からの回復などを目的とした諸活動を表し、狭義の意味では、病院、診療所などによる医学的サービスのことを言います。
医療を狭義の意味で考えると、医療保険は、病院や診療所で医学的サービスを受けると保険金が支払われるものと解釈できるわけですが、実際のところ、病院や診療所でただ単に受診したくらいで保険金が支払われるような医療保険はありません。
では、一般的な医療保険は、どのような医学的サービスを受けた場合に保険金が支払われるものかというと、おもには「入院」と「手術」です。
一般的な医療保険では、契約時に「入院給付金日額」などと呼ばれる入院1日あたりに支払われる保険金(給付金)の額(例えば10,000円など)を決め、入院後に退院した際に「入院給付金日額×入院日数」が支払われます。
また、手術については、保険約款で定められている手術を受けた場合に、入院給付金日額の一定倍(例えば20倍など)が支払われるというものです。この手術については、入院を伴う手術、入院を伴わない手術のどちらでも、保険金が支払われるということが一般的です。
このように、「入院」と「手術」に関する保険があるものを一般的に医療保険と言いますが、保険会社によっては、「手術」に関するものを付けず、入院した場合のみに保険金が支払われるものもあります。
また、以前の医療保険ですと免責期間があって、入院期間が4日以下の部分は保険金が支払われず、5日目以降の分のみ支払われるものが一般的でした。ただ、最近の医療保険はこのような免責期間があるものはほとんどありません。また、日帰りの入院をした場合も支払われることが一般的です。
ちなみに、よくある勘違いとしましては、ホテルに宿泊する場合のような1泊の場合は入院日数が2日とカウントされます。ですので、日帰り入院の場合は1日とカウントされるわけです。
このようなものが一般的な医療保険の仕組でありますが、これだけでは保障が十分でないと考える方のために様々な特約があり、主契約である医療保険に付加することができます。次回は、医療保険の特約についてご説明したいと思います。
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この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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