公的年金は保険料を何年払ったら受け取れる?

2019年5月5日

今回は、公的年金である国民年金や厚生年金において、各給付における受給要件についてご説明させて頂きます。「ちゃんと保険料を払ってきたつもりであるのに、いざとなったら年金がもらえないなんて。。」という後悔をしてはいけませんしね。
公的年金の給付ですが、国民年金も厚生年金も基本的に、
・老齢年金
・遺族年金
・障害年金
の3つで構成されます。
ここでは老齢年金についてご説明させて頂きます。なお、国民年金の老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金の老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。
たまにある誤解なのですが、サラリーマンの方の給与明細では「厚生年金保険料」が天引きされていて国民年金保険料に相当する分が控除されていないことから、「自分は国民年金に加入していないのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。ですが、サラリーマンの方は国民年金における「第2号被保険者」であり、実際に国民年金に加入しています。大雑把なイメージとしては、給与から天引きされる厚生年金保険料の中に、国民年金保険料に相当する分が含まれていると思ってください。
では、老齢基礎年金の受給要件ですが、保険料の払込に関する期間の要件として、
①保険料納付済期間
②保険料免除期間
③合算対象期間(受給要件の期間には反映されるが、年金額の計算には反映されないもの)
をあわせて10年以上あれば、65歳から老齢基礎年金が支給されます。以前は、この10年が25年だったのですが、平成29年8月1日から10年に短縮されています。
なお、すべて保険料を支払ってきた場合に、老齢基礎年金の年額は「780,900円×改定率」となります。「①保険料納付済期間」や「②保険料免除期間」が少なくなるほど年金年額は減少していきます。
では、老齢厚生年金はというと、老齢基礎年金の受給要件を満たしていれば、厚生年金保険料を1ヵ月でも払っていれば、原則65歳から老齢厚生年金を受給できます。厚生年金は国民年金とは異なり保険料が報酬比例ですので、老齢厚生年金の年金額も過去の報酬の平均に紐づけられています。
このように、とりあえず「①保険料納付済期間」だけで10年以上あれば65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることができるわけです。もちろん、それより少ない場合でも「②保険料免除期間」「③合算対象期間」の長さ次第で受け取ることはできるわけです。
しかし、保険料を払っている期間が10年しかない場合では受け取れない年金もあります。それは老齢厚生年金の加給年金などが該当するのですが、こちらについては次回にご説明させて頂きたいと思います。
賢い保険の入り方・見直し方が学べる「お金の教養スクール」はこちら

この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

About the author

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「お金の勉強」をはじめたい!

まずは、無料体験セミナー

自宅に居ながら資産運用の勉強がはじめられる。
気になるセミナーを選んで、授業を「体験」してみよう!

無料体験セミナーを見る(無料)