「低解約返戻金型終身保険」がおトク! アクチュアリーがおすすめする理由

2018年1月8日

保険や年金による効率的な活用についてご説明したいと思います。
今回は、生命保険の活用によるものです。

30年払い続けられれば、低解約返戻金型終身保険は安い

生命保険というと、万一の際の保障のために加入されるというのが一般的でありますが、実際には、保険解約時の解約返戻金を期待して加入される方も少なくありません。
具体的には、「低解約返戻金型終身保険」というものがあります。前回のコラム『無解約返戻金型商品等は保険料が安くても気を付けないと……』においてもご説明させて頂きましたが、終身保険は純保険料に含まれる貯蓄保険料の割合が高いことから、解約返戻金の水準が高くなります。更に、低解約返戻金型であることから、低解約返戻金型でない終身保険と比べると、保険料も安くなっています。
以下の表は、ある保険会社の低解約返戻金型終身保険の、払込保険料累計と解約返戻金の推移です。

<ある男性の例>
加入年齢:30歳
保険金額:500万円
保険料払込期間:60歳満了
月払保険料:10,920円
この例では、30歳で保険に加入して60歳まで保険料を払い続けるのですが、60歳到達時に低解約返戻期間が終了しますので、その直後で解約返戻金の額が大きくあがり、返戻率(解約返戻金を払込保険料累計で割ったもの)が100%を超えます。
もちろん、万一の際には、保険金額である500万円が給付されますので、貯蓄と保険の双方の機能を持ち合わせていると言えます。

低解約返戻金型終身保険で、節税もできる

実は、これだけではなく、低解約返戻金型終身保険の保険料には税制面のメリットもあります。生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる「生命保険料控除」というものがあるためです。
生命保険料控除は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約においては、
・一般生命保険料控除
・介護医療保険料控除
・個人年金保険料控除
の3つに区分され、低解約返戻金型終身保険の保険料は、一般生命保険料控除に該当します。
また、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の控除額は、それぞれの年間の支払い保険料等により、以下の表に基づいて計算されます。

先ほどお見せした低解約返戻金型終身保険の例ですと、月払保険料が10,920円ですので、年間の支払い保険料等が80,000円を超えることから、所得税算定時の控除額は40,000円となります。
仮に所得税の税率を20%としますと40,000円×20%=8,000円が所得税の軽減額となります。
出典:生命保険文化センター
この軽減額分、支払う保険料が安くなっていると捉えると、先ほどの低解約返戻金型終身保険の返戻率は更に高くなるわけですね。
保険料払込期間中、この生命保険料控除が適用になると仮定すると、30年間の払込保険料累計は3,931,200円-8,000円×30年=3,691,200円となり、経過期間30年(低解約返戻期間終了後)の返戻率は、4,355,900円÷3,691,200円≒118%となり、返戻率が110.8%から約7%増えるわけです。
これは、所得税の軽減効果のみを反映させている結果です。住民税も考慮すると更に高い返戻率を期待することができますね。

「個人年金保険料控除」も受けられるならさらにおトク

また、低解約返戻金型終身保険は「一般生命保険料控除」の枠を使っていますので、同様に解約返戻金の水準が高い個人年金保険に加入すると「個人年金保険料控除」が適用されます。「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」合わせて80,000円の所得控除が適用されます。
ただし、この生命保険料控除が適用とならない保険契約もありますので、保険の加入の際には、営業担当の方に生命保険料控除の対象となるかを、しっかりと確認しておくことをお勧め致します。
また、その他留意すべき点がございますので、それは次回以降にご説明させて頂きます。

この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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