保険料を払えなくなったときの選択肢

2019年8月6日

読者の皆さんの中には、万が一の際に備えて死亡保障の保険などに加入している方も少なくないかと思います。今回は、このような保険に加入していて、経済的な理由により保険料を払い続けることが困難になったときの選択肢についてお話しさせて頂きます。
保険に加入しているときに、収入が減少したなどの経済的な理由で保険料を払い続けることが困難になる場合もあります。このときに契約者が取ることができる選択肢として、以下のものがあります。
①解約
②減額(一部解約)
③払済保険に変更
④延長保険に変更
「①解約」は、保険契約自体を解約することで、解約日後に保険料を払い続ける必要がなくなるものです。また、無解約返戻金型の保険でない限り、解約時に解約返戻金が支払われることが一般的です。もちろん、保険契約を解約しますので、解約した後は保障がなくなってしまいます。極端な話、解約して数日後に死亡したとしても、そこでは保険金は支払われなくなるわけです。
そこで、「②減額(一部解約)」というものがあります。これは保険金額を減額して、それに比例して保険料を減らすことができるものです。簡単な例として、元々保険金額1,000万円の定期保険に加入していて、減額して保険金額を半額の500万円にしたとします。そうすると、減額後の保険料も基本的に半額となります(高額割引制度が適用されている場合などは、完全に半額にならない場合もあります)。また、この減額というのは保険契約の一部を解約することと同じなので、減額した部分に対応する解約返戻金も支払われることになります。解約でなく減額をすることで、保険金額を減らしながらも保険契約は継続されますので、万が一死亡したとしても保険金は支払われるわけです。
ただ、減額の場合は、保険料を減らすことはできるのですが、保険料自体は払い続ける必要があるわけです。では、保険料を払い続けたくない、しかし、保障は継続したい、と考える場合の選択肢として、「③の払済保険に変更」と「④の延長保険に変更」があります。
「③払済保険に変更」ですが、払済保険に変更後は保険料を払い続ける必要はなく、また、解約返戻金がないかわりに、減額された保険金額で保険契約の保障が続くというものです。これは、一旦元の保険契約を解約して、本来支払われるはずの解約返戻金を原資として、減額された保険金額の保険契約を再度購入するというイメージです。これによって、保険料を払い続ける必要はなく、かつ、保障も継続されるという形になります。
このように保険契約を解約せず、保険契約を継続することができるのですが、「②減額(一部解約)」も「③払済保険に変更」も、保険金額は減額されてしまうわけです。そこで、保険金額を減額しないで、かつ、保険料を払い続けることなく保険契約を契約したいような人に適したものが「④延長保険に変更」です。こちらについては、次回お話しさせて頂きます。

この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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