合格ラインは何点!?難関アクチュアリー試験について

2017年9月5日

前回の記事『保険会社で活躍する専門家 「アクチュアリー」の仕事とは?』では、そもそもアクチュアリーとはなにか?について述べました。
今回はアクチュアリーになるために必要な資格試験について、リアルな合格率などを交えながらお伝えします。

アクチュアリーになりたい!突破すべき資格試験

アクチュアリー、すなわち、日本アクチュアリー会正会員になるためには、同会が毎年実施している資格試験の1次試験、2次試験に合格する必要があります(厳密には、試験合格に加えて、プロフェッショナリズム研修の受講も必要です)。
なお、1次試験を1教科でも合格すると研究会員となり、1次試験の5教科すべて合格すると準会員となります。(1次試験に合格しなくても、希望をする場合は研究会員になることができます。)
1次試験は基礎科目である5教科(「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」)、2次試験は専門科目である2教科(「生保1・生保2」「損保1・損保2」「年金1・年金2」のいずれかを選択)で構成されています。
1次試験はマーク方式で、「会計・経済・投資理論」を除いて基本的に数式を用いた問題が中心ですが、2次試験は論述式が中心であり、法令やガイドライン等を記述させたり、保険や年金の様々な問題についてアクチュアリーとしての所見を述べさせる問題が出題されます。
1次試験、2次試験とも、合格ラインは基本的に60点です。
また、1次試験はマーク方式とはいえ、解答欄が数値を埋めるもの(例えば、解答が「1/2」で解答欄が「①/②」となっている場合、①に「1」、②に「2」をマークする)や、解答の選択肢があってもその選択肢が10個あったりと、理解できていない場合には正解することが非常に難しくなっており、真の知識を求められます。
2次試験は、先述の所見の配点が4割ほどあり、ここでしっかりと点数を稼げないと、合格ラインの60点到達は非常に難しくなっています。

アクチュアリー試験はいつ実施される?

試験は毎年12月に実施されます。受験者個々人によりますが、1次試験は遅くとも9月頃、2次試験では遅くとも6月頃に勉強を開始しないと、12月の試験に間に合わないイメージです。
私も講師をしておりますが、いくつかのスクールでアクチュアリー試験対策講座を実施していますが(ほとんどが1次試験の対策講座)、それらのスクールでは、早いところでは3月から講座を開始しており、それだけ早い時期からの勉強が必要であるというわけです。
試験の合格率は、年度間でバラつきはありますが、平成28年度で1次試験が10.6%~19.7%2次試験が10.0%~14.6%と、決して高い水準とは言えないものです。なお、この合格率は、合格者を実際の受験者数で割ったもので、分母の受験者数には、受験の申込みはしたけれども合格の自信がなく受験していないような人は含まれていません。例年、1次試験では、受験の申込者数の約2/3くらいが実際の受験者数となっています。
最近では学生(大学生・大学院生)の受験者も増えており、できるだけ学生時代に合格しておいて、社会人になってからの勉強の負担を減らす傾向にあります。数学の知識が必要なことから、理系の学部出身の方がほとんどですが、文系の学部出身の方でも正会員になられている人もいます。

アクチュアリーは狭き門をくぐり抜けてこそなれる

正会員になるまで平均約8年かかるといわれ、しかも、ほとんどの人が仕事をしながら勉強しており、仕事以外の時間をほとんど勉強に捧げているといっても過言ではありません。もちろん、この8年は正会員になった人の平均ですので、途中で試験合格をあきらめた人や、合格せずにずっと試験を受け続けているような人は考慮されていない数値なわけです。
このようにして、狭き門をくぐり抜けてきた人がアクチュアリー、すなわち日本アクチュアリー会正会員となれるわけで、正会員の私が言うのも大変恐縮でありますが、厳しい基準で選抜された人たちと言えるわけです。
【次回の記事はこちら】
数理専門家がコッソリ教える!生命保険料の裏側
【前回の記事はこちら】
保険会社で活躍する専門家 「アクチュアリー」の仕事とは?

この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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