がん保険の待機期間、なぜ90日間なの?

2018年12月13日

前回は、原則全額自己負担となる国内未承認の抗がん剤治療の補完手段となりうる、がん保険についてご説明させて頂きましたが、今回はがん保険の特徴についてご説明させて頂きます。
まず、他の生命保険や医療保険にはないものとして、90日間の待機期間(免責期間)というものがあります。これは、がん保険を契約してから90日間は、がんに罹患してもがん保険からの給付がされないというものです。これは、いわゆる「逆選択」から発生する問題です。保険における「逆選択」とは、保険会社が被保険者の情報(健康状態等)を把握できず、本来加入すべきでない被保険者を加入させてしまったりすることです。
ちなみに、保険の世界では普通に「逆選択」という言葉が使われますが、これは元々保険用語ではなく経済学の用語で、買手と売手の情報量に格差があることにより発生する市場の問題のことを言います。
保険においては、買手が保険の契約者(被保険者)、売手が保険会社であり、売手の保険会社が買手の被保険者の情報を把握しきれないということから発生する問題となるわけです。
その他に逆選択の例としては、中古車の売買も挙げられます。売手のディーラーは、売ろうとする中古車に何か問題があることがわかっていながら、買手はその問題を把握することができず、適正な金額で中古車を買えないという問題が発生するわけです。
がん保険に話を戻しましょう。がん保険にも生命保険と同様に「告知書」があり、告知書への記載内容次第では、がん保険への加入が断られたりします(このことを「謝絶」と言います)。がん保険の告知書で確認されることは、一般的に、
・過去のがんに罹患したことがあるか?
・最近(例えば過去3ヵ月間)、告知書で定められた病気で、医師の診療等を受けたことがあるか?
・例えば過去2年間で、人間ドック等で検査結果の異常を指摘されたことがあるか?
というものです。これらに該当した人は、がん保険への加入が謝絶される可能性があるわけです。
さて、部位にもよるのですが、がんには自覚症状があったりします。そこで「自分はもしかしてがんかな?」と考えて、病院には行かないで、先にがん保険に加入するようなことができてしまうわけです。単なる自覚症状ですと、上記の告知書の告知項目にあてはまらないためです。
もし、このような人にがん保険から給付されてしまうと、自覚症状がない人と比べて不公平になりますので、そのような人へ給付しないように90日間の待機期間があるわけです。待機期間は90日ですので、例えば、自覚症状が出てすぐにがん保険に加入し、その後90日間がまんして、その後病院等でがんと診断さる場合は、がん保険から給付されてしまいます。
ただ、これ以上待機期間を長くしてしまうと、普通に自覚症状がない人に対しても給付されなくなることあったりすると、それはそれで問題ですので、今のがん保険の待機期間は一般的に90日となっています。
がん保険に加入する際には、このような待機期間があることをしっかりと理解しておく必要があるわけです。
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この記事のライター

添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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