【2020.1.31.(金)にアップデートした記事です】
良品計画は、無印良品というブランド名で衣料や雑貨・食品を展開している卸売、小売を行っている企業です。日本のほか中国などの海外にも多数店舗を保持しています。
その良品計画の業務に影を指すようなニュースが出ています。特に、今年の1月10日の2019年2月期の営業益の下方修正を皮切りに1月23日の中国需要の低下による影響、1月30日のファミリマートでの無印良品の取り扱い終了というニュースが軒並み出てきました。
そして、そのニュースの真実を裏付けるかのように良品計画の株価も大きく落ち込んでいます。
今回、2019年1月18日の23,000円の株価から4月には28,000円をつけましたが4月10日の決算発表後大きく値段を下げました。株価の推移と現状、そして2019年4月10日から2020年1月の決算について書いていきたいと思います。
Contents
2017年末からの推移について
2017年はじめから2018年6月まで順調に株価を上げ続けていました。2017年はじめには22,000円前後で推移していました。そして、2018年6月18日には4万円超の株価を記録しました。その後株価が下げはじめましたがこの下げの環境には日経平均全体の下げと同タイミングでもありました。つまり、業績などのファンダメンタル面での下げというよりは相場全体の地合いが悪くなったことで株式の売り圧力が強くなったことによる下げ、つまり短期的な下げが考えられました。
日経平均は今年に入り少しづつではありますが回復しています。しかし、良品計画は多少の上げ下げはあるものの下げが続いている状況で2月4日の段階では27,000円ほど、3割ほど株価を下げている現状です。
業績やニュースから見られる下落要因について
連結の業績は2014年2月から2018年2月間での連結決算では売り上げから純利益までのいずれの項目も前年同期比よりもプラス、もちろん黒字を続けています。そして、業績予想についても2019年と2020年の連結もすべてプラス、そして配当についても毎年増配を続けています。
これだけのプラス要因ばかりの銘柄ではありますが、いや、優良銘柄だからこその下げ要因もあります。それは上昇期待が裏切られたとき、いわゆる失望売りが考えられます。それは、好業績だからこそ下方修正時に起こる株価暴落が激しいのです。
株価は業績などのファンダメンタル要因のほかに相場参加者である投資家達による株式売買によっても相場は上下します。短期的にはむしろテクニカル面での変動のほうが影響が大きいといえるでしょう。
当初、短期的な下げと思われていた株価ですがさすがに1割以上下げていくことによるインパクトは大きく売りが売りを呼ぶ状態ではありますが、それが長期化するにはやはり業績にダメージを与えるようなマイナス材料が考えられます。
今回出ているニュースでは業績の下方修正です。2019年2月の営業利益を500億としていたのを30億円下げた470億円にしたというのです。このニュースの影響単純な数字だけではなく下方修正の原因にもあります。というのは国内の営業不振に夜だけではなく中国の景気減速による影響にも言及していたからです。さらに追い討ちをかけたのがファミリーマートでの無印良品の販売の終了です。
このニュースにより業績下方修正という知らせに対してより現実味を帯びた結果になり当然ながら株価も下落を続けている状況です。
2019年4月10日発表の「平成31年2月期連結決算」について
2019年4月10日、今までの不安材料が顕現されたかのごとく決算発表がされ、その翌日から株価が大きく下げました。26,000円ほどの終値から22,000円台に15%ほどの下落です。4月18日現在は21,540円となっています。さらに下げ続けているのが現状です。
これは、事前に発表された決算予想下方修正結果よりもさらに下がっていたからです。営業利益は前期比1.2%減の447億円、経常利益は前期比0.3%減の458億円。前期比から比べてそれほどの下げではないかと思われるかもしれませんがいずれも下方修正後の予想(営業利益470億円、経常利益473億円)よりも下がっているのが大きく価格を下げている要因といえるでしょう。
4、2019年10月から2020年1月の価格推移
2020年に入り、日経平均も24,000円あたりを頭打ちに行ったり来たりの様相を呈しています。
良品計画は1月10日決算発表と同時に下方修正を発表しました。さらに追い打ちをかけたのがネット通販サイトのシステムメンテナンスの再延長でした。1月1日にメンテナンス終了すると言われていましたが再開できず、さらに1月13日に1月上旬に予定していたメンテナンス終了を1月下旬にすると発表しました。通販サイトに占める売り上げの比率は少なくありません。それが一時的とはいえ使えない状態が続いており、終了期間もあいまいです。これは投資家にとってはマイナス的な意味で大きな発表だと言わざるを得ません。これらの出来事から1月14日の暴落につながったのではないでしょうか。
株価はとどのつまり買いたい方と売りたい方の株式の約定により値段が決まります。よって、売りよりも買いが多ければ株価は上がり売りよりも買いが少なければ株価は下がります。今回の決算発表で本格的に市場参加者が良品計画の業績が悪化していると考えているということです。
1月10日の終値は2,628円でした。それが翌営業日14日は特別売り気配という売りたい方が多く買いたい方がいない、あるいは少ない状態で売買が成立しない状況から始まり値段が寄り付いたのは2,128円でした。約23%の下落です。その後ももみ合いながら下がり1月22日の終値は2,057円です。
5、2020年1月の決算発表について
2019年10月から上げていた株価が大きく下げた1月14日。この日の株価への営業は前営業日の決算発表が大きく関係しています。
その原因は決算の下方修正でした。それも、ただの決算発表ではありません。東アジア事業による情勢不安による点です。良品計画は東アジアで大きな販売を行っております。しかし、最近、香港、中国などで政情不安がありその影響があるということです。これは、良品計画という1企業に対する経営問題と東アジアの政情不安によるダブルパンチです。
そして今回の下方修正ですが決して良い予想からの転落ではないのです。もともと2020年2月の連結純利益は13%減の294億円でした。つまり、悪い予想をしていたので市場ではこれ以上悪くはならない。あるいは予想に反して良くなる可能性も十分考えられる状況だったのです。しかし、1月10日には26%減の251億円と発表されたのです。これには多くの投資家の売りを誘ったことでしょう。現に1月14日にはストップ安から始まりました。
今後の株価について
株価の節目については、市場参加者の心理的指示価格と呼ばれる価格があります。根拠があるわけではないのですが、2万円台の株価であれば2万円が節目になることがあります。これはテクニカル的な意味合いが強いのですが、いったん崩れると特に理由もなく需給バランスが崩れることがあり暴落の引き金になることがあります。
しかし、今回は良品計画の本業の利益による不振がその根底にあります。そうなるとより大きく値が下がる可能性があります。
まとめ
株価の長期的な下落には業績による不調が背景にあります。業績の不調は株の需給バランスが崩れたことによる下落では収まらない会社の存続にかかわる内容に発展するからです。2019年4月10日に発表された2019年2月期の通期決算の内容は黒字ではありますがその結果は株価を下落させるには十分なインパクトがありました。よほどのことがない限りいきなり赤字に転落するということは少ないです(企業が意図的に粉飾決算をするなりすれば別ですが)。ただ、株価が下がる要因として決算が絡んだ結果となればそれはただ需給バランスによって下げられるのではなく、正当な理由のある価格の下げということが言え、株価下落が長期化される可能性があります。
これらの状況を打開するには新たな戦略が必要になります。2019年秋には新たにヨーロッパへの展開を予定でスイスとフィンランドに初出店を行うようです。ヨーロッパにブランド力が浸透することで新たな活路になるかもしれません。
2020年1月14日の下げは下方修正の発表により起こりました。原因は東アジアの情勢のほか消費税増加と物流コストの増加と言われています。東アジアの情勢不安であれば収まることも考えられますが消費増税と物流コスト増は恒常的なものでこれからも良品計画の業績に暗い影を落とし続ける可能性があります。