老後に2,000万円が必要といった情報が話題になりました。一律ではない多様な生き方が選択できるようになりつつある昨今。人が安心して一生涯生きていくためには、資金がどれだけ必要なのでしょうか。
萩原博子著『おひとり様でも、一生お金に困らない本』より、老後に向けて知っておくべき生活の考え方をご紹介します。
現状把握していくら必要なのか試算する
まずは、現状を把握しながら、老後にいくら必要かを計算し、対策を考えていきましょう。
15ページより引用
多くのメディアに出演している著者ですが、経済事務所勤務後は1982年から経済ジャーナリストとして活躍してきました。家計運営のノウハウをわかりやすく伝えてくれる名手として、定評があります。
多様な生き方が認められるようになってきた現代ですが、その分だけ前例がないため、新しい情報を常に収拾して、老後に備えていかなくてはなりません。
まずは、現状把握が大事であると著者はいいます。65歳を定年として日本人女性の平均寿命である87歳までの22年間に必要な生活費は、毎月15万円かかるようです。そこに家賃、医療費、介護費などを加えると、老後に必要な金額はなんと7,500万円程度なのだとか。そして、既にある貯蓄(平均額)やもらえる予定の年金、退職金などを鑑みると、人によって差はあるものの、だいたい3,700万円くらい必要になってくるといいます。
老後に必要な資金は、もしかすると2,000万円どころではないのかもしれません。
生活のダウンサイジングをする
それでは老後どころか、今の生活もあやうくなってしまうので、支出を減らすために、節約できるところはなるべく切りつめるよう「生活のダウンサイジング」をはじめましょう。
23ページより引用
3,700万円をこれから貯蓄するにあたって、すぐにできることとして何があるのでしょうか。それは生活のダウンサイジングであると著者はいいます。
極端に贅沢をしているわけではなくても、収入と支出がほぼ同じで、貯蓄ができないと考えている人は多いのではないでしょうか。大切なのは、予算を先に決めてその中に収まるようにやりくりすることなのだとか。
最初は、まず食費が削りやすいようです。たとえば、食費が現在35,000円だった場合は、30,000円に見直し。家賃や公共料金も、生活スタイルに合わせてダウンサイジングしていくなど、まだまだ見直す余地があるといえるでしょう。
また、自分へのご褒美という感覚は必要ないと著者はいいます。頑張ったご褒美といって予定外の出費をちょくちょくしていては貯まらないのは当然です。老後の安心を得るということ自体が最大のご褒美であると心得ておく必要がありそうです。
長く働くことを視野に入れる
支出だけではなく、収入の見直しも必要です。仕事の形態や方法が多様化している昨今、10年後、20年後ともなれば、人と会わずに仕事が成り立つ傾向はさらに強くなることでしょう。
だとしたら、物価が高い都会に住むことなく、地方に移住するといった方法もあるといえそうです。都会は何かとお金がかかるものです。また、地方は仕事がない、給料が下がるといった心配も考えられますが、パソコンがあれば人と対面しなくても成立する仕事もたくさんあります。
だとしたら、地方の実家に戻ったり、お金がかからない地方に移住するということも視野に入れていくことができそうです。
また、そもそも働く期間を延ばせば、収入も増えると著者はいいます。65歳から以降にどう働くかということを早くから考えておくことで生涯年収も上がっていきます。さらに、「繰下受給」で年金の受給開始年齢を下げることによってもらえる額も増えていきます。
大切なのは、何歳の段階でも支出より収入が多いことを意識しておくことなのだとか。早いうちから現状分析して備えつつ、長く働き続ける生き方を視野に入れておきたいものです。
タイトル:おひとり様でも、一生お金に困らない本
著者:萩原博子
発行:PHP研究所
定価:1,000円(税抜)