小学生でもわかるビットコイン③ 誰がビットコインを守ったり、発行したりしているの?

2017年10月9日

<前回のあらすじ>
銀行を通さずにお金のやりとりできることのメリットを理解したサトシ(12)は、母親の美奈子(38)の出す不思議な問いに答えつつ、さらにビットコインの深層へとあゆみを進めていく。

ビットコインの仕組みの維持には途方もない作業が必要

「サトシさぁ、たとえば贋金を作らせたくないって思ったら、どうする?」
「え〜、もともと実体がないんでしょう? ネットワーク上にある電子データだったら簡単にコピーとかできそうだもんなぁ」
「そうね。でもビットコインはコピー防止に成功している」
一枚一枚、ビットコインを毎日チェックするとか? そんなの無理かぁ(笑)」
「サトシ、正解!!やるわね」
「えーーーー!!!マジで?」

贋金チェックの報酬はビットコイン

「ビットコインの取引は、ネットワーク上でのやりとりの全てを記録すること(正確には10分に1度全世界の取引を記録している)で、信頼性を得ているの 。もしも、贋金コピーが生まれたらネットワーク上の記録に不備が生じるから、すぐに贋金がわかる仕組みというわけ」
「でも、一回一回記録するわけでしょう?めちゃ大変だと思うよ。誰がやってるの?ビットコイン委員会みたいなところ?」
「みんなでやってるのよ。ビットコインの大きな特徴は、誰か特別な人や団体が管理をしているわけじゃない、という点なの。だから、保守管理はみんなでやることになってるの」
「みんなすごいね。よくボランティアでそんな大変なことができるね」
「ボランティアじゃないわよ。それをやる報酬がビットコインというわけ」
「え……、どういう意味?そのビットコインは誰が払ってくれるの?」
「そういう風にプログラミングされているからとしか答えようがないわね。誰という特定の人物はいないわ。でも、ビットコインが受け入れられている理由のすべてはここにあるの。実際、システムの保守管理の報酬がビットコインというのはよく考えられていると思うわ。面倒なことでも強いメリットを感じると、ゲームみたいにやることが楽しくなるからね。それに贋金造りに血道をあげるより、保守管理をする方が儲かるというのも良い点ね。この作業のことを『採掘』(マイニング)というの。ちなみに新しいビットコインはこのマイニング作業からしか生まれないんだ」

ブロックチェーンのすごみ

「じゃあ、僕もそのチェック作業をやれば、新しいビットコインをもらえるの?」
「そうね」
「よーし、僕もがんばるぞ!……ママ、パソコン買って〜」
「そうねぇ……ビットコインが生まれたての頃は一般の人もその作業に参加できたけど……いまはどんどん競争が激しくなってるから」
「そんなに、すごい競争があるの?」
報酬がもらえるのは、一番早く正確に取引履歴をまとめた人なの。10分に1度の世界中のビットコインの取引履歴をひとつのブロックにまとめるレースが行われてると考えてみて……」
「うわ……なんかすごいね」
「いまの報酬は12.5BTC(※)だから、1BTC=30万円だとしても375万円も賞金がかかってるレースが、10分ごとに行われてるんだよ。誰よりも早くマイニングをするために、広大な敷地にすごい演算能力のあるパソコンを敷き詰め、おそろしいほどの電気代をかけて、24時間フル稼働でやってる。とてもサトシに勝ち目はないよ」
「なんだよ。期待して損した。僕、超がんばるつもりでいたのに」
「ビットコインを手に入れる方法は他にもあるから心配しないでいいよ。その方法については、また今度教えてあげるね。ノリタケくんがいくら羨ましくても、恵んでもらおうなんて考えなくてもいいから」
「なんだか、ママのおかげでビットコインに詳しくなれた気がするよ。明日ノリタケくんに自慢していい?」
「……さ、もう遅いんだから、お風呂に入りなさい」
「あ、ねぇ、最後に!そのビットコインを発明したのは誰なの?」
「サトシ……SATOSHI NAKAMOTO っていう日本人だって言われているわ。彼がビットコイン理論を書いた論文をネット上に 公開したことがすべてのスタートだったの」
「お、同じ名前だ。ママ、まさか……?」

「ううん、サトシの名前は、ポケモンマスターからとったのよ」
「ママ、coolすぎるよ」
<サトシがわかったこと>
1、ビットコインの不正取引の防止はみんなでやる
2、ビットコインの取引監視システムの報酬はビットコイン
※注)ビットコインの通貨単位。読み方はビィーティーシー。

この記事のライター

ルウ・ハイアン

文筆家・歴史家として各メディアに寄稿。投資家としての側面も持ち、投資界隈の話題には事欠かない。また経済のトピックを誰にでもわかるように話す技術には定評がある。映画や書籍、または海外ゴシップにも精通している。日本語の他に、中国語・英語も堪能。

About the author

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「お金の勉強」をはじめたい!

まずは、無料体験セミナー

自宅に居ながら資産運用の勉強がはじめられる。
気になるセミナーを選んで、授業を「体験」してみよう!

無料体験セミナーを見る(無料)