米中の貿易摩擦。貿易関税の品目は?今後の展開は?

2018年5月13日

2018年3月よりニュースを騒がせている米・トランプ大統領による対中向けの貿易摩擦問題ですが、今回は米中の貿易摩擦における関税品目等に触れながら、今回に至った件をまとめていき、今後考えられる展開をわかりやすく解説していきます。

1.米国の貿易関税対象項目は?

まず先手をかけたアメリカ側の関税品目について見て行きます。事の発端は2018年1月以降にトランプ政権が推し進めてきた「強硬な通商政策」路線にあります。その背景には2018年2月に発表された2017年の米国貿易赤字が「7962億ドル(約87兆円)」と2008年以来の赤字幅であった点です。
トランプ政権は保守強硬派として、アメリカ内需の保護主義を謳っています。その為過去でも最大級の貿易赤字は国内の産業にとってマイナス影響を与え、雇用環境の悪化につながるという懸念を示し、2018年1月に通商法201条から「太陽光パネル」についての緊急輸入制限(セーフガード)を行い、貿易摩擦が始まって行きました。
貿易赤字の半分以上は中国が占めており、安価な太陽光パネルを供給している中国に対するものでした。そしてエスカレートし、3月1日には通商拡大法232条から「鉄鋼とアルミニウム」の輸入制限と、追加関税として鉄鋼に25%、アルミニウムに10%をかけると発表しました。
その後4月3日に追加で約1300品の追加関税を発表し、世界中を驚かせています。「産業用ロボット・航空宇宙用部品」といった最先端な技術を持った製品に対して関税をかけて行きました。
製造国としての再興を図ろうとしているアメリカにとっては、世界シェアを奪おうとしている製造国・中国の動向は気になってしまう為、今回の一連の貿易関税は「対中」に対するものであると言えます。

2.中国側のアメリカに対する貿易関税項目は?

アメリカからの宣戦布告に対して、中国側も追加関税に踏み切りました。中国のアメリカからの輸入に対しての追加関税は「フルーツやドライフルーツ、ナッツ、ワイン、鋼管」に対して15%、「豚肉やアルミニウム」は25%に踏み切りました。その他中国でも人気なバイク「ハーレーダビッドソン」についても関税を引き上げています。貿易関税品目は以下より。
参照:アメリカとカナダの関税リスト
中国としては世界で1番の製造国になるためのロードマップである「中国製造2025」を打ち出しており、中央政府主導の経済拡大に努めています。米国側はこのような中国の急速な動きに対して非常に危惧しており、貿易関税政策に進んでいるというのが実情です。
中国側としては、アメリカの都合で出されてしまう貿易関税については許容できない訳であり、即座に対応しました。一時は貿易戦争も辞さない格好をとっていました。ただし品目を見ていても輸入量が比較的少ないものを中心に中国側が選んでいる点からも、「本気」の対応をしているとは感じられません。

3.米国が中国に対して貿易戦争を挑む理由は?

この場に及びアメリカが中国に対して貿易関税策を打ってくることの理由は、2018年11月に予定している「中間選挙」が一番影響しています。要するに政治的パフォーマンスの面が強いということです。
中間選挙は大統領の改選ではなくあくまでも議会議員についての選挙であり、トランプ大統領には変化はありません。アメリカはトランプ政権率いる「共和党」と、前オバマ大統領が属していた「民主党」の2大政党で議席を争われます。
アメリカは上院と下院に分かれており、現在上院100議席、下院435議席のうち過半数は共和党が確保しているものの、今回の中間選挙で民主党議席が伸び「ねじれ」が起きることによる政権運営への支障が心配されています。
トランプ大統領の支持層は貧困層や白人労働者といった「雇用」に関心がある方々が多く、破竹の勢いでアメリカの雇用を奪っていく中国製造業に釘をさす事で自身の支持層の確保を目指そうとトランプ政権は企んでいるのではないかと考えられます。
公表されているニュースは建前で、政治的な要因が強い今回の「貿易戦争」は一時的なものであると考えられます。

4.今後の米中貿易摩擦の行方は?

アメリカと中国共に追加関税策を発表し、アメリカは更なる追加関税策を講じようとしています。しかしながら今回の10兆円の追加関税策ですが、2017年度米国GDPが約2060兆円であり、関税の規模は全体0.5%にも満たないため大きな影響を与えているとは言えません。
また中国の習近平国家主席は市場開放の意向を世界的に発信し、外資の中国国内での出資制限の緩和や自動車等の輸入関税の引き下げを年内に検討しているという意向を市場に示しました。
これは実質アメリカとの間で悪化する貿易摩擦についての鎮静化を図るような印象を与えました。実際アメリカにとっては中国を惨にする事で自国の経済にダメージを食らう可能性も秘めています。
それは中国がアメリカ国債を世界で一番保有している点です。2018年2月現在1兆1800億ドル(約126兆円)分の米国債を中国が保有しており、外国勢ではトップの保有額です。仮に中国が米国債を大量に売却すると、米国金利が急上昇し大規模な経済危機が起きる事は避けられません。
このように中国はアメリカに対して強いカードを持っているため、両国間で協議を続けながら落とし所を探しにいく展開が予想されます。これ以上の過熱は考えにくいですが、引き続き動向をウォッチしていく必要があります。
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この記事のライター

Harumaki

愛知県在住のアラサー主婦です。趣味は株式投資で今は仮想通貨にも興味があります。長期休暇はよく旅行に出かけています。

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