富裕層に厳しい令和時代? 富裕層の海外不動産による節税対策にストップ

2019年12月31日

貯蓄から投資へまた副業ブームとお金を増やす投資が積極的に行われています。
海外不動産投資もまた同様です、地価の手ごろな東南アジア諸国をはじめ海外住宅を購入し賃貸する海外住宅不動産投資も盛んに行われています。
海外不動産投資は大きな節税効果があり、主に富裕層を中心に広がっていましたが11月の政府税制調査会の発表では、この節税対策にストップがかかりそうです。
今回の記事は富裕層への税制強化について解説いたします。

海外不動産投資の減価償却費を利用した節税額は年間40億とも

国の収支を監査し、不公平税制など収支全般を検査する会計検査院が富裕層の節税対策にメスを入れました。日本の税制は、国内の所得と海外の不動産投資における所得を合算し申告することになっています。
例えば、海外の住宅不動産を取得しリフォーム工事などして経費をかけ減価償却費として申告します。この赤字になる減価償却費を富裕層の高額所得から差し引けば大幅な減税効果が期待できるという節税対策です。

赤字なら仕方がないのでは?と思いがちですが日本の中古住宅とは違い、湿気が少なく石と煉瓦作りの海外住宅は相当な年数が経っても市場価値が下がりません。
中古住宅の市場価値を低くみる日本の税制をうまく使った節税方法です。この節税方法に関しては、平成27年度より会計検査院が富裕層の海外不動産投資について以下のような調査結果を開示しています。

参照:会計検査院「決算検査報告」
富裕層が多く住んでいる都市部の高額所得者を調査したところ、337人の海外不動産投資の減価償却費が39億8,650万円になっていると指摘されました。
海外の不動産投資について1人当たり平均1,182万円の減価償却費が計上されています。
明らかに富裕層がこの減価償却費の節税をうまく利用しているのかを表す数字といえるでしょう。
年間40億近い節税効果とは凄いです、ある意味悪目立ちすぎるのでチェックが入ったのではないでしょうか?

富裕層への税制強化はじまる

今回の富裕層への節税対策への布石は平成26年度から始まっていました。
国外不動産が5,000万円以上所有されている方は「国外財産調書制度」があり国外財産の内容を明らかにする方向性ができていました。

参考:国税庁「国外財産調査」
海外への投資を把握したいという国税庁の制度の一つになります。
その他に「財産債務調書制度」というものがあり、資産3億円以上または1億円以上の国外転出特例対象財産所有の富裕層へ資産開示をもとめる制度も平成28年度より開始されていたのです。

以前より税の不公平については多くの議論がありました。
税が100%クリアなサラリーマンに対して、富裕層は様々な節税対策を駆使している不公平ではないか?
その声に対応したためか、あるいは消費税の引き上げで国民の不満と疑問に答えるためか国税庁のホームページにこんなページを見つけました。
参考:国税庁「いわゆる「富裕層」への対応」
高額納税者に対して頻々と調査をしていることを開示し、その結果を公表しています。

流石に富裕層だけあり、高額な追徴になっていますね。
国は今まで優遇されているといわれてきた富裕層への課税の強化と財産の開示・把握に力を入れ始めています。

令和は税制の公平化と格差社会是正にむかうのか

税の公平化は全国民にとり、当然のことでしょう。
今現在困窮している方には手厚い保護や援助を行い、高額所得の方には税負担を多くお願いしその財源を社会に還元し公平化を図る。
これが税制の基本スタンスです。
しかし、一般庶民には消費税の引き上げもあり、非正規労働者の増加も含めて生活に安定やゆとりを感じられないのが実情ではないでしょうか?
国民の社会を作る基盤である税制がこれらの制度により公平化され、適正な課税と社会への還元が実現することを強く願ってやみません。
始まったばかりの令和時代ですが、格差社会は是正されていくのでしょうか。
「ほったらかし」でも、資産が増える仕組みをつくりたい

この記事のライター

宮田よし恵

アパート経営10年の実績を活かし、不動産投資・起業・銀行など主にお金と投資について執筆多数。今後は、母を介護をしている経験からシニアと住宅・お金の問題に対しても発信していきたいです。

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