自民党総裁選による為替の影響

2018年9月29日

安倍首相、自民党総裁3選へ

安倍晋三首相の自民党総裁任期満了に伴う総裁選は、9月20日午後、投開票が行われました。そして、安倍首相は石破茂元幹事長との一騎打ちを制し、3選されました。
安倍首相は国会議員票の8割程度を固め、党員・党友による地方票においても優位にたち、圧倒的強さで石破氏を破りました。
安倍首相の新たな任期は、2021年9月までです。すまわち、今後3年間の政策運営は安倍首相にゆだねられるということになります。

アベノミクスの継続

経済分野においては、総裁選の間から、安倍首相は「アベノミクス」の継続を掲げています。
総裁選では国内総生産(GDP)の伸びなどの実績を強調し、「三本の矢でデフレ完全脱却」と主張し、「アベノミクス」の継続をその経済政策の中心に据えていました。
「三本の矢」の第1の矢は「大胆な金融政策」、第2の矢は「機動的な財政政策」、第3の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」です。
「大胆な金融政策」を継続する限り、為替は円安にふれる可能性が高いと言えます。

トランプ大統領の次のターゲットは日本

しかし、我々日本は、国内情勢だけでなく、世界情勢に目を向ける必要があります。
その最大の注目ポイントは、米国のトランプ大統領の動きです。トランプ大統領は依然として米国の貿易相手国との貿易赤字の解消に集中しています。
これまでは、日本における自民党の総裁選を考慮して、日本に対する貿易交渉はあえてストップしていましたが、安倍総裁が自民党総裁に再選された今、日本に対して遠慮をする必要はまったくありません。
今後、日本に対して交渉を仕掛けてくる可能性が非常に高いといえます。トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しをめぐりメキシコと合意に至り、カナダとの交渉も大詰めを迎えています。
また、欧州連合(EU)とも貿易協議に入ることが固まり、本格的な交渉に入っていない主要国は日本だけとなっているのです。そして、日本と米国は9月25日に首脳会談を開く予定であり、その前に通商協議も予定されています。

トランプ大統領の関税発動による為替への影響

トランプ大統領が、中国への貿易関税をかけ続けた結果、中国の元がどうなったか見てみましょう。なんと、元はどんどん下落していきました。
米中貿易摩擦の激化で既に減速している中国経済が一段と圧迫されるのに伴って、人民元に対する下げは加速し、中国人民銀行(中央銀行)はその対応に追われる日々だったのです。
トランプ大統領は、新たに2,000億ドル相当の中国製品に輸入関税を適用することを発表しましたが、このことは中国経済にとっては大きなダメージであり、さらなる元安が進行するおそれがあります。
つまり、米国との経済戦争に突入すると、為替安にふれる可能性が高いといえるのです。

日本円への影響は

自民党総裁選で無事安倍首相が再任されたため、トランプ大統領が日本への貿易戦争を仕掛けてくることは間違いないでしょう。
9月に入ってトランプ大統領は、日本との貿易協議について「新しい合意に達しなければ、日本は大変な問題になると認識している」と述べました。米国が、今後の協議で自由貿易協定の締結や農業分野の市場開放などを強硬に求める可能性が高まってきています。
日米両政府は8月に続いて、貿易協議を9月下旬にも開く方向で調整しています。トランプ大統領は月内の貿易交渉を前に強硬姿勢を示し、日本に貿易赤字の削減に協力するよう迫る狙いとみられます。
貿易関税により、経済が腰折れすることは、為替にとってはマイナスに働きます。つまり、「円安」にふれることになります。

為替動向を見る際のポイント

ここまでご説明してきたとおり、トランプ大統領が日本に貿易戦争を仕掛けてきた場合には、為替は「円安」にふれることになるでしょう。
しかし、トランプ大統領の圧力を安倍首相がうまくかわすことができれば、「円高」に向かうことになるのではないかと思われます。
今後の為替の動きは、トランプ大統領と安倍首相の貿易交渉の過程に注目して見ていっていただきたいと思います。
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この記事のライター

マネラボ編集部

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