チャート分析や経済指標では見抜けない「投資家の心理」とは

2019年6月15日

FXや株式投資をしていると、相場が意に反した動きをして驚くことばかりですよね。相場の動きが読めるようになるためチャートを読むテクニカル分析を学んだり、経済指標を読むファンダメンタル分析を学んだりしている人も多いはずです。けれど一向に利益があがらない。相場は、テクニカル分析やファンダメンタル分析から作られる他に、投資家たちの心理によっても作られているからです。「相場は生きものだ」と表現される理由は、その投資家たちの心理がチャートに表れていることもあるからです。行動ファイナンスから見る投資家心理も知っておきましょう。

サンクコスト効果とコンコルドの誤謬ごびゅう

サンクコスト効果は、投資に限らなくてもさまざまな場面で確認することができます。何年も赤字を出しているのに、かけた時間や費用といったコストが惜しく撤退しない企業、結局は使わなかったけれど買った費用がもったいなくて捨てられないもの。

サンクコストとは、すでに支出されたあとのため、どのような意思決定を行っても、取り返すことができない費用のことをいいます。最初に投資したポジションが思惑と外れ含み損を抱えている場合、損切りをしたいが、そこに投資した時間とお金が無駄になることを恐れ、ナンピン買いをしてしまう、あるいは損切りをするという現在の意思決定に影響をおよぼすことをサンクコスト効果といいます。

コンコルドの誤謬(ごびゅう)とは、たとえばナンピン買いなどサンクコストを惜しんで投資を続けた結果損失が拡大することで、コンコルド効果やコンコルドの誤謬(ごびゅう)といいます。誤謬とは自分の考えとは一致しない現象や判断をいいます。自分の考えとは反対に相場が動いているなど、自分の考えに一致しない現象が起こっている場合、サンクコストは無視して冷静に現状を把握する必要があります。

追認バイアス

追認バイアスとは、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めようとする心理をいいます。株式市場を例にあげると「○○株が上昇」とその情報を信じて株を購入し、その後下落したとしても下落要因を探らず、上昇要因だけを捉える現象です。自分の都合の悪い情報は排除してしまうといった側面を持っています。追認バイアスは、誰もが持つ心理状態ですので、情報は多方面の情報を仕入れるようにしたいですね。

保有効果

買ったものに対して愛着がわき、手放すのが惜しくなる心理現象が保有効果です。人は保守的な生きもののため、1度手に入れてしまうと、次に新しいものを得るメリットよりも、今持っているものを失うデメリットを多く見積もってしまうといわれています。

投資に置き換えると損切りができない現象です。根拠のない自信から自分が買ったものだからあがって当然と、下落局面であっても情報を仕入れずナンピン買いをしてしまうなんてこともあります。きちんとした上昇根拠があれば話は別ですが、人には買ったものに愛着を持つ保有効果があることも覚えておきたいですね。

他にも行動心理学や行動ファイナンスには、さまざまな投資家心理をあらわした理論があります。テクニカル分析やファンダメンタル分析だけでなくこういった投資家心理も役立ててください。

この記事のライター

楽生暮

ファイナンシャルプランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)
金融・保険業界を経験後、現在はフリーでFPに関するライター業やメディカルハーブ講師、マヤ暦占星術を行う2児の母。自身でも株やFX、つみたてNISAなどの資産運用を行いながら、「楽しく生きて暮らす」をテーマに子育てや資産運用を書いたノンジャンルのブログも運営中。複数の収入の柱を持つことを提案し実行している。

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