実費保障型の医療保険って?普通の医療保険とどう違う?

2020年2月4日

私事ですが、最近、親族が次々と入院、大きな手術を受け、その後通院という状況で、お見舞いをする機会が多くありました。身体のことはもちろん、家族の日常生活、お金のことなどさまざまな心配ごとが頭に浮かびますが、皆さん保険でカバー出来ているようでお金のことではひとまず安心です。
あらためて医療保険の大切さを実感していますが、普段さまざまな方とお話をするなかで保険選びや保障額、保険料とのバランスの取り方がよく分からないという人が多いと思うのも事実です。最近では実費保障型保険という新たな医療保険も出てきており、選択肢の幅がさらに増えています。そこで今回はこの実費保障型保険について、どんな保険なのかを説明します。

医療保険の給付金はどう決まる?

医療保険の保障といえば、一般的に入院給付金の日額を決め、入院時には入院日数に応じて支払われます。また、手術したときの手術給付金は、手術の種類に応じて入院給付金日額の10倍、20倍、40倍の給付金が支給されるのが一般的です。
たとえば、日額5,000円で、入院1日目から支払われるタイプの場合、入院日数が6日であれば30,000円(5,000円×6日分)が支払われることになります。手術は入院給付金日額の10倍の支給対象となる手術であれば50,000円(5,000円×10倍)が支払われます。
実際には、「日帰り入院」、「1泊2日入院」、「5日以上の入院」(4日間は対象外)などのタイプや1入院での支給限度日数や保険期間を通しての通算限度日数が保険種類ごとに決められていますから、必ずしもこのとおりに支払われるとは限りませんが、概して「あらかじめ契約時に決めた一定額が支払われる」というのが一般的な医療保険の保障内容とされています。

実費保障型保険とは?

これに対して実費保障型保険では給付金の額は一定ではありません。ざっくり言うと、医療機関で公的医療保険の「自己負担額」として請求される金額(実費として支払う金額)を民間の医療保険が払ってくれるというものです。
たとえば、入院および手術を受け、医療費が10万円だったとしましょう。わかりやすいように入院時の差額ベッド代など、健康保険の対象とならないものはここでは考えないものとします。そうすると、退院時に医療機関の窓口で自己負担額の3割分を請求されることになりますが、この自己負担した3万円が実費保障型保険の給付金として支給されるイメージです。
これまでの一般的ない医療保険では、契約で定めた入金給付金日額や実際の入院日数などにより、実際に自己負担した医療費よりも少ない場合もあれば、過分に受給できる場合もありました。しかし、実費保障型保険では実際に負担した分だけが戻ってくるイメージですからよく言えば、必要性に応じムダがないと考えることもできそうです。

実費保障型保険の保障内容は?

どんなタイプの保険に加入するにしろ、保障内容をきちんと確認し、納得してから加入することが大切です。実費保障型保険でも支払の対象となるもの、ならないものがありますから、きちんと確認しておきましょう。
基本的には「入院治療費給付金」をベースにオプションとして入院時差額ベッド代や入院時の諸費用、先進医療費などに対する特約を付加できるようになっています。
ベースとなる入院治療費給付金は、医療機関で請求時に発行される診療費請求書兼領収書を元に次のように計算されます。
入院治療費給付金=公的医療保険制度の給付対象となった入院中の療養費診療報酬点数×3円
保険会社によっては、自己負担分よりも少ない「×2円」、「×1円」を選択できる商品もあります。ただし、この場合にも1カ月当たりの給付金支払限度額が定められており、保険会社によって10万円~20万円と限度額が異なります。
実は執筆時現在で実費保障型保険を取り扱っている保険会社は数社程度で、そんなに多くはありません。それでも保険会社によって保障内容や支払基準が異なりますから、検討する際にはしっかり比較しておくことが大切です。
比較ポイントは多々ありますが、主に次のようなポイントを確認しておきましょう。
・入院時食事代が基本給付に含まれているかどうか
保険会社によって、基本給付の入院治療費給付金の計算に含まれるもの、含まれないものがあります。入院時の食事代(食事療養費)は所得にもよりますが、1食あたり460円とされています。仮に1日2食、6日間入院とすると5,520円になりますから給付額に含まれるかどうかは確認しておきたいですね。
・保険期間
実費保障型保険は保険期間を10年間(その後自動更新)としている保険会社が多いようですが、5年間としている会社もあります。年齢が上がるにつれ保険料が高くなるのは一般的な医療保険でも同様ですが、5年ごとに保険料が上がるのか、10年ごとかで保険料総額は変わります。何歳までこの保険を続けたいのかも考えながらシミュレーションしてみましょう。
・日帰り手術が対象となるかどうか
医療保険の特徴として、入院したときの保障をメインにしているというのは日額保障型でも実費保障型でも同じです。とはいえ、最近では日帰り手術をするケースも多くなっていますから、入院を伴わない手術が保障されるかどうかは確認しておきたいところです。現在販売されている実費保障型保険でも、日帰り手術は対象とならないもの、入院時の手術に比べて給付金額は下がるけれども対象となるものなど、商品によってさまざまです。加入を検討する時にはきちんと確認しておきましょう。

実費保障型保険と日額保障型の医療保険はどちらがいい?

ここまで実費保障型保険の比較ポイントを見てきましたが、一般的な日額保障型の医療保険と比べてどちらがいいのか気になる人は多いと思います。
どちらが良いかは個人ごとの必要性と考え方にもよりますが、保障内容と保険料を比較しながら検討してみましょう。
万一、高額な医療費が必要になるときの経済的リスクに備えて加入しておくのが保険ですが、そもそも入院(あるいは手術)しなければ保険料は掛け捨てになってしまいます。日本の公的医療保険には高額療養費制度もあって先進医療費など対象とならない医療費を除けば、所得によって1カ月当たり数万円の自己負担に抑えられるようになっています。
たとえば自己負担限度額が8万円程度だとしても、それが数カ月も続かない限り貯金で充分まかなえる金額とも考えられます。
生きている間にはどんなリスクがあって、どれだけのお金が必要になるかわかりませんから筆者も民間の保険加入をおすすめすることがよくあります。しかし、どちらのタイプの医療保険を選ぶにしろ、保険を検討するときは損得で考えるものではないと考えます。最も大切なのは、本当に貯金で賄いきれないようなリスクを最優先で備えるということです。加入時にはそのことを心がけるようにしてください。
1,000万円の差がつく、賢い保険の入り方とは

この記事のライター

續恵美子

ファイナンシャルプランナー(CFP®)
夢や希望を持ちながらも、一歩を踏み出せない――お金の知識を教えることで、そんな女性が一歩踏み出す支援をしたいという想いとともに、ファイナンシャルプランナーとして活動。
プライベートでは南仏移住して10年以上。仕事・家庭・自分の人生を活き活き送る、多くのフランス人女性から学んだことを日々の活動に実践している。

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