
お金が貯まると、頭に浮かぶことがあります。
それは、「マイホームを買うべきかどうか」ということです。
家は買うべきか借りるべきかの答えはカンタンには出ません。よくいわれているように、価値観や生き方によって、購入したほうが良かったり、賃貸のほうが良かったりするからです。
つまり、「人それぞれ」ということに尽きるといえます。でも、これは答えのようで、答えになっていませんよね。
確かなのは、人生で最も大きな買い物といえるこのマイホーム購入で選択を間違えれば、取り返しのつかないことになりかねないということだけです。
そこで私の考えは、「間違った選択をしないために、知っておくべきことがある」というものです。
それは次の3つのことです。
【利回り:物件価格は家賃の200倍以内か】
もしも家を買うことを検討しているのならば、その家が「お買い得品なのか、割高商品なのか」を個別に判断する必要があります。
マイホームというと普段は想像もつかない金額が関わるので、想像するのが難しいかもしれませんが、原理は普段のお買い物とまったく同じです。
たとえばスーパーで夕方6時になれば50%オフになると知らずに、5時50分に刺し身を買う人がいれば、明らかに割高ですよね。そこにあるのは、「夕方6時に割引される」という知識の違いだけです。物件も同じものと考えてください。
そして、今が買い時かの目安となるのが「家賃の200倍」です。
たとえば、4000万円のマンションがお買い得かどうか判断したい場合。まずは、間取り、物件のあるエリア、築年数などの諸条件が似た賃貸物件をいくつか探します。その結果、18万円が相場であることがわかれば、「18万円×200=3600万円」となり、4000万円という価格はやや割高ということがわかります。
なぜ家賃の200倍以内なのかというのは、私が「利回り6%の法則」とよんでいる不動産投資の鉄則からくるものです。こちらについては、過去に書いた私の本を参考にしてみてください。
【資産価値:30年後の価値はどれくらいか】
家賃の200倍以内かどうかだけでは、不動産の持つ本来の価値を知るには十分ではありません。不動産の本当の資産価値は、今の価格だけでは判断しづらいものだからです。
スーパーで買う刺し身であれば、資産価値はありません。数日のうちに食べないと腐って捨てるしかないからです。でも、それが希少価値の高いヴィンテージワインであればどうでしょうか。もちろん、適切に保存する必要があるでしょうが、ものによっては、年月とともに価格が上がっていきます。そこで必要となるのが、生産数はどのくらいなのか、需要はあるのかといったワインの知識です。
不動産も同じように、将来の価値を把握する必要があるということです。
たとえば、新進気鋭のデザイナーによる人気のマンションが、30年後には誰も見向きもしない物件になってしまっているかもしれません。そういったマンションは、今賃貸で住むにはいいかもしれませんが、マイホームには向いていないかもしれません。人気エリアかそうでないかも考慮すべきでしょう。今、そのエリアに住んでいる人たちの家族構成や経済的状況、教育水準も、その土地の将来を占う意味で大切です。もちろん、30年後の不動産市場を正確に把握することは、誰にもできないことですが、知識をつけることで、ある程度予想はできます。今の価格だけで比較するのではなく、予想される未来の価値で判断すべきなのです。
【人生設計:あなたの人生の目標に合ったものか】
「パーソナル・バランスシート」の項目で、人生の大きな目標の話をしました。
家を買うとき、借りるときにも、その都度、この目標と照らし合わせることが重要です。「将来、ハワイに移住したい」という目標があるのならば、比較的安い賃貸にして現金を貯めたり、あるいは転売しやすい不動産を購入したりすることなどが考えられるでしょう。
以上の3つの視点に立って、買ったほうがおトクな物件ならば買う、借りたほうがおトクな物件ならば借りると判断していくべきではないでしょうか。
ものごとの判断基準を「価値」に置くクセをつけよう
会社の経営層や上層部の人たちだからこそ知り得るお金の価値もあります。時にはカバン持ちでも何でもして、自分にはない価値観を聞き出そう。