
保険料は支払総額で考える
TVでよく見かける『終身型医療保険』のコマーシャル。あなたもお昼の時間帯などでよく目にしませんか?若い人はもちろん、年配の方も出演して「これなら私の老後も安心ね!」などといった感じで。
たしかに年配になれば、なおさら病気やケガも心配でしょう。定期より終身保障されるほうが安心でしょうし、一般的にも終身型医療保険を勧められることが多いのではないかと思います。
そして加入される方も、月々の保険料を見ただけでたいして家計に響かないし安いから……と判断する人が結構いらっしゃいます。
あなたはこういう場合、どのような判断の仕方をしていますか?
もし、あなたが月々の保険料の安さだけ見ているようであれば、ぜひやって頂きたい判断の仕方があります。「支払総額」で考えてみて頂きたいんです。【月々の保険料×12ヶ月×加入期間の年数】ですね。
そこで、計算してみると気付かれることがあると思いますよ。実際にここでその事例を見て頂きましょう。
新規加入年齢が高いほど、早く病気やケガをして入院しなければ損をする
某保険会社の比較的安いとされる終身型医療保険で試算してみました。ここでは男性の保険料を例に計算しています。
※計算の主旨は、1ヶ月の入院をして30万円の入院給付金を受け取る場合の損得勘定です。
一般に「保険は損得で考えるものではない!」と言われます。たしかにごもっともですが、やはり掛け捨てである医療保険だと、保険料を支払う側としてはある程度考えておく必要があります。
例)1入院60日まで(通算最高1,095日まで)入院日額1万円、手術給付金20万円を保障というシンプルな終身型医療保険に加入したとします。
50歳では加入後3年11ヶ月までに1回入院して給付金30万円をもらわないと支払保険料が上回っていきます。手術給付金20万円ももらって総額50万円もらう場合は6年7ヶ月までにもらわないと支払保険料が上回ります。上図のように、30歳を例に取りますと、加入後7年2ヶ月までに1回入院して給付金30万円をもらわないと支払保険料が上回っていきます。手術給付金20万円ももらって総額50万円もらう場合は11年11ヶ月までにもらわないと支払保険料が上回ります。
こう見ますと、
・30歳男性の場合……入院だけなら37歳くらい、手術・入院なら41歳くらいまでに1回給付金を受け取って初めて元がとれます。
・40歳男性の場合……入院だけなら45歳くらい、手術・入院なら49歳くらいまでに1回給付金を受け取って初めて元がとれます。
・50歳男性の場合……入院だけなら53歳くらい、手術・入院なら56歳くらいまでに1回給付金を受け取って初めて元がとれます。
さて、ここで気付くことがあります。
新規加入年齢が年配の方ほど早いこと入院・手術しないと損する確率が高くなるということです。
50歳から新規に加入すると3~6年以内がリミットですから、なんだか早く病気やケガをして入院しないといけないようなことになります。
それから年配の方ほど保険料が高い分、積み重なると家計へ大きな負担になっていくということ。入院・手術をこの期間内に1度もしなかったら、毎月ムダな出費をし続けるわけです。
「でも通算1,095日の入院保障されてるから、いつかは役に立つかも……」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
正直申し上げて1,095日分の給付金を全部受け取れる確率は限りなく0に近いのです。このことに関してはまた別の機会にでもお伝えしたいと思います。
給付金をもらうために、月々この保険料を支払い続けるのはどうなのか?と家計と相談して判断しなければいけません。
節約して1ヶ月1万円貯金すれば2年半で30万円になります。その後もいくらか貯金を続ければ、入院費に使おうがアクティビティに使おうがそれは全てあなたの自由になるお金であり資産です。
医療保険の保険料は将来、万が一の時に給付金という形ではもらえますが、「出ていくお金」としての確率が高いのです。
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