悲しいだけではない、亡き人との向き合い方・付き合い方

2018年10月13日

亡き人との“今の”関係はある?

先週10月2日は夫の6回目の命日でした。
前回、「記念日反応」という、大切な人を失ったことがある人なら、誰にでも起こりうる自然な反応のことを紹介しましたが、昨年くらいからでしょうか、私自身、命日の迎え方が大きく変わってきていることに気がつきました。
今年は出張で少し家を空けることになりました。
その中で、2つの宿泊施設に泊まったのですが、それらはまったく違う特徴を持ちながらも、経営的に大変興味深く、事業の立ち上げに関わる今の私には非常に勉強になった次第です。
こんな時、私はそれを「亡夫からの応援」または「亡夫からの指示」と受け取ります。
生前、流通ジャーナリストだった夫の取材に付き合ってあちこちに出かけ、その時々で彼より「お店の見方」「経営の見方」を教えられているからです。
今回は、なるほどこういうことね、と受け止めました。
こんな風に、日常的に亡くなった人を感じるのは、私だけなのでしょうか。
こういう話をするとオカルトと言われることもあるのですが、多くの遺族から、オカルトでもなんでもない自然な「亡き人との“今の話”」を伺うこともよくあります。

年忌法要は、遺族のためでもある


その命日より前に、七回忌法要を営みました。
七回忌は、その人が亡くなって6年目に行う法要のことです。
最近は、行わない人も増えているとか。
たしかに準備はそれなりに必要ですし、お金もかかるので気持ちはわかります。
でも、夫と死別して理解しましたが、法要とは、亡き人の冥福を祈るという仏教的な意味とは別に、私たち遺族のためにもあるものだと思います。
亡くなって、1年(=一周忌)、2年(=三回忌)、6年(=七回忌)、12年(=十三回忌)、16年(=十七回忌)……と、仏教の年忌法要は期間が定められています。
施主として法要を取り仕切った経験のある方ならわかると思いますが、一周忌と三回忌では、たった1年でも準備する自分の心持ちが少し違うでしょう。
もちろん、年を経ればいいというわけではなく、たとえば七回忌が一番精神的に辛かった…という人もいると思いますが。
それでも、大切な人が亡くなって「もう1年」「まだ6年」などという“区切り”は、流れていく&流されていく日常の時間の中では、大きな句読点になるはずです。
今回、4年ぶりにお会いする亡夫の友人たちを見て、思わず……「失礼ですが、みなさん、いい感じで歳をとられてますね〜」と言ってしまいました。
お一人から「そうだね、(写真の中の)金子は若いままなのに」と返され、笑い合える穏やかな時間を過ごしました。
みなさんも、過去の夫ではなく、今の夫を感じていたからだと思います。

香典とお布施、なかなか難しい……


法要といえば、香典のことも気になるでしょう。
そして、お寺にお渡しするお布施も。
多くのサイトで、金額の目安が示されており、「失礼のないように」と解説されています。
亡くなった人との関係性や地域でも金額は異なり、それがお金のことであるから余計に、みなさんがとても気を遣っていることもよくわかります。
ちなみに、お布施とは、お寺に「支払う」というものではありません。
お経などに対するサービス料金ではないのです。
お布施についても誤解があるなあと思いますが、でも一方で、金額でお寺と揉めてしまう話も残念ながら聞こえてきますね。
もちろん人によって感じ方は違うと思いますが、私自身遺族となり、お香典を頂戴する身となって感じたことがあります。
次回は、遺族として、受け取る立場からの香典について、書いてみたいと思います。

この記事のライター

金子稚子(かねこ・わかこ)

終活ジャーナリスト/ライフ・ターミナル・ネットワーク代表。
雑誌・書籍の編集者や広告制作ディレクターとしての経験を生かし、誰もが必ずいつかは迎える「その時」のために、情報提供と心のサポートを行うほか、医療から墓、供養、さらには遺族ケアに至るまで、死の前後に関わるさまざまな事象や取り組み、産業などを精力的に取材。多死社会を目前に控える今、起こるであろう問題について警鐘を鳴らし、情報発信や提言を行っている。また、死別経験者として、当事者の話でありながら、単なる体験談にとどまらない人生の最終段階から臨終、さらに死後・死別後のことまでも分析的に捉えた冷静な語り口は、医療関係者、宗教関係者からも高い評価を得て、各学会や研修会にも講師として登壇。さらに、生命保険等の金融関係、葬儀関係、医療・福祉関係、医薬品などの各種団体・企業に向けてだけでなく、行政、一般向けにも研修や講演活動を行う。人々の死の捉え直しに力を入れ、真の“終活”、すなわちアクティブ・エンディングを提唱。多岐に渡るさまざまな情報提供とともに、私たち自身が自分で「いきかた」を決める必要性を訴えている。
著書に『アクティブ・エンディング〜大人の「終活」新作法〜』(河出書房新社)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『金子哲雄の妻の生き方〜夫を看取った500日〜』(小学館文庫)。編集制作・執筆に『親の看取り〜親が倒れてから、介護・療養・終末期のすべて〜』(e-MOOK 宝島社)等。
一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。医療法人社団ユメイン野崎クリニック顧問。厚生労働省「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」構成員。夫は、2012年10月に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄。ライフ・ターミナル・ネットワーク

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