年を重ねていくと、人との関係が疎遠になったり、永遠の別れが訪れたりと孤独になりがちであるといいます。
しかし、孤独はどの世代であってもついてまわるものであり、どうせならばその時間をもっと自分らしくポジティブに楽しむべきなのかもしれません。
80歳現役イラストレーターであり、「カワイイ」のレジェンド・田村セツコ著『孤独をたのしむ本』 より、孤独と上手につきあいながら年を重ねるコツをご紹介します。
孤独な時間は充実した自由時間
みんなひとりぽっちになることにとても不安になっている。それは年を取っても若くても同じことです。年齢にかかわらず、孤独くらい身に染みて寂しいものはありません。若いときには青春の孤独が、年を取れば老年の孤独があります。
<4ページより引用>
名だたる少女雑誌で連載を持ち続けてきた著者。成長の過程のどこかで著者のイラストを目にした女性は多いはず。
80歳にはとても見えない容姿とそのイラストのままのファンシーなワードローブは、さまざまな年齢層の女性たちに支持され続けています。
本著では「孤独の楽しみ方」について、著者の視点で触れられています。年を重ねていくと、大事な人たちが次々に自分のもとを去っていく孤独を感じるようですが、若い的にも疎外感などといった種類の孤独を感じているということ。
結婚していてもいなくても、家族がいてもいなくても、孤独は人生においてついてまわるものなのかもしれません。
著者は、自身のことを「孤独嫌いの孤独好き」と呼んでいます。両親も妹もこの世を去り、独居老人の一人であるともいいます。
しかし、ひとり暮らしはなんでも一人で楽しむことができ、自分の時間を自由に描くことができる。孤独な時間を上手に楽しく使えば、充実した毎日にもなりうるというのです。
困ったときこそ脳が喜んでいる
脳科学者の茂木健一郎さんが仰っていたのですが、困ったときこそ脳が「ああしよう、こうしよう」って対策を練って、活性化するらしいです。困ったときに脳が活性化するなんて嬉しい!
<68ページより引用>
孤独をたのしむ秘訣として、著者は15項目をあげています。
そのうち「困ったときは脳が喜ぶ!」のページでは、困っていても脳が活性化するから嬉しいと述べています。
年を重ねると困ることには事欠かない。だから、そのたびに「うわー、脳が喜んでいるわ。嬉しい嬉しい」と思うことにするというのです。
さらに、別のページでは、「わたしは幸せですと決める」と語っています。幸せというものは、誰かに決めてもらうものではない。だからこそ「わたしは幸せです」と、とりあえず決めてしまうのだとか。
「わたしは不幸です。わたしは孤独です。」と決めたらそのとおりになってしまう。だからこそ、自分は幸せなのだと自分で決めて生きることが大事なようです。
困ったことであったり、端から見たら不幸に値するような出来事は人生において大小さまざまにおきるものです。
しかし、それを無理の好転させるのではなく、受け入れた上で気持ちを自ら切り替える。イラストレーター・レジェンドならではの明るく生きるコツであるといえそうです。
誰もが「おばあさん初体験」
見た目も中身も若々しく、永遠の少女といった雰囲気を持つ著者は、おばあさんになるのが楽しみであったといいます。
おばあさんになると表向きは渋いものを選んだりするけれど、実はビーズやリボンが好きであったり。いわば、お茶目な女の子がシワの中でウインクしているようなものなのだというのです。
女性はいつかおばあさんになるということは、みんな「おばあさん初体験」。
著者のような考え方でいれば、年を重ねていくことが楽しくなりそうです。
タイトル: 孤独をたのしむ本
著者:田村セツコ
発行:興陽館
定価:1,499円(税込)