生命保険の保険料は高い方がいいのか、安い方がいいのか?
保障内容が手厚い方が高いのか、安い方でも十分なのか?などの疑問について実際のところどうなのかをお話します。
生命保険料のしくみから見える保険会社の内部事情
加入者としては保険料がどのようにして決められているか、よくわからないのが実情だと思います。
そこでまずは保険料の内訳がどのようになっているのか、見ていきましょう。
保険料の内訳は大きく2つの内訳に分かれています。
それは純粋に保険に使われる「純保険料部分」と保険会社の利益になる「付加保険料部分」の2つになります。
【純保険料部分】
予定死亡率と加入者から預かった保険料を貯蓄運用する予定利率から計算して算出されている
【付加保険料部分】
保険会社の運営や広告費・社員の給与などに充てられる費用や利益になる部分
これらが保険料の内訳になっています。
このようにしてあなたの支払う保険料は成り立っているんです。純保険料部分はアクチュアリー(保険数理業務のプロ)が過去の統計から算出します。ですから保険会社によってそれほど大きな差が出ることはありません。
一方、費用や利益になる付加保険料部分は保険会社によって大きくちがいが出ます。
なぜ保険会社によって大きくちがいが出るかと言いますと、会社組織としての業務形態がちがうからです。大手老舗の生命保険会社であれば、営業職員である生保レディーやセールスマンを大勢雇っている分、たくさんの人件費がかかります。有名芸能人を使ってのテレビCMなどを大々的にやっていれば高額な広告費がかかっています。
そうなると、それだけ付加保険料部分も大きく占めてくることになるわけです。
一方、インターネットで通販でしか販売していない保険会社の場合は、人件費に関しては節約できますので付加保険料部分の費用を削減できるので、保険料を安くすることができます。
業務形態によって付加保険料部分に大きくちがいが出るのは、こういった理由があるのです。
保険料は当然、安いほうがいい?
仮に保険会社でA社とB社があったとしましょう。
両社が提供する保険商品で、内容や条件が全く同じだったとします。
ちがうのは保険料だけであれば、加入者側からすれば当然保険料が安い方がいいわけです。
もちろんまったく同じ保険商品は無いとしても、ほぼ似た保障内容であれば安い方を選択した方がいいわけです。高い保険料の方を選択すれば、その保険会社の多くの費用や利益のために何十年も毎月支払っていかなくてはいけないのですからね。
しかし、単純に安ければよいというものでもありません。
そこはきちんとチェックしておかなければならないことがあります。
保険会社の経営状態は必ずチェックしておく
保険料が安いからといってすぐに飛びつくのではなく、まずその保険会社の経営状態は良いのかどうかを調べる必要があります。
加入してしまった後になって、実は経営状態が悪く破綻しそうな保険会社だったということになっては、せっかく加入したのに意味がありません。現在、日本にある全生命保険会社が加入している生命保険契約者保護機構という組織があります。
これは保険会社の保険会社……と言えばわかりやすいかと思いますが、ある保険会社が破綻しても、その保険契約を他の保険会社が引き継いだり、あるいはその生命保険契約者保護機構が子会社を設立して引き継いでくれますので、ある程度の安心感はあります。
しかしこの場合は、支払われる保険金が引き下げられることもありますので、できれば10年くらいは大丈夫だろうと予想できる保険会社を選ぶといいと思います。
その選択基準の指標として、各保険会社の「ソルベンシーマージン比率」という数値で経営状態を確認する方法があります。ちょっと難しい横文字の名称ですが、この数値はたとえば天災で多くの被害が起き、その保険会社にとって通常の予測を超える多大な保険金の支払が発生した場合でも保険金の支払能力があるか?ということを数値で表しています。
この比率が200%以上であれば一応は安心と言われています。
しかし、この数値が200%を超えていても破綻した保険会社があるので、万能な数値ではありません。
過去に破綻した生命保険会社で、会社名は伏せておきますが破綻した時の数値が305%や211%、あるいは555%だったと言われている保険会社も破綻しています。
現在は600%以下の保険会社がほとんどありませんので、一応600%以上であれば安全圏と見るのが無難ではないかと思います。
小規模でリスクの小さい保険会社の場合はこのパーセンテージが大きめに出ることもありますので絶対的な数値ではないことをご理解しておいて下さい。
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