
定年後の暮らしについて考えを巡らせていると、だんだん不安が募ってきます。不安を見える化して、充実した日々を迎えるために。泉正人著『最強の定年前マネジメント』より、定年前にしておくといい「定活」についてご紹介します。
定年後の不安を見える化する
なぜ、人は不安になるのでしょうか。それは、実は、「その正体がわからないから」こわいのです。でもこわいものは「正体」さえ突き止めれば納得もできます。
003ページより引用
著者はファイナンシャルアカデミー代表であり、東京・大阪・ニューヨークで身近な生活のお金から会計、経済、資産運用に関するスクール経営を行っています。今までにも多くの著書を執筆してきましたが、本著は定年前というタイミングに軸を置いた内容になっています。
「公的年金はいくらもらえるのか」「定年後の仕事は」など、老後について考えると、さまざまな不安材料が頭をかすめるものです。定年後に関する目には見えない不安を、漠然とした形で捉えているだけでは、どこから手をつけたらいいのか分からなくなってしまいます。
そんな不安をなくすためには、不安の正体を突き止めること。見える化させて対処法を構築すれば、不安はいつしか消え去っていることでしょう。
著者の父は第2の人生にシフトするまでに約7年かかったといいます。多くの人は就活に時間をかけるものです。それと同じように、定年後に新しい人生を上手くスタートさせるためには、定年前10年くらいを準備期間とみなして、定活することを本著では勧めています。
定活には3つのステップと9つのポイントがある
「定年前マネジメント」の第一歩は、自分の現状をきちんと整理すること。そして、今後どんな備えが必要なのか、自分の中で具体的なイメージを思い描くことから始めます。
057ページより引用
具体的な定活の内容として、自分の人生の「診断」「分析」「設計」という3つのステップが挙げられています。
ステップ1は診断です。「お金」「体」「心」の健康診断をすることで、自分の経済や身体、人間関係などの状況を把握します。ステップ2は分析です。自分や家族の状況を把握し、「年金」「ライフサイクル」「住まい」などの分析を行います。ステップ3は設計です。定年後も働いていくとしたらどんな働き方をするかという「仕事」設計、さらに「家計」「資産」に関する設計を行います。
3つのステップとそれに伴う9つのポイントについて、全体のバランスをとりながらしっかりと考えておくことが、重要であるといえるでしょう。
就活をするときには、まず自分がやりたいことが何なのかについて自己診断をしました。同じように、定活をするときにも、今の自分を捉え直すことから始めていかなくてはなりません。
現在、自分が置かれている状況を知り、定年後の基礎をしっかりと踏み固めていきたいものです。
定年は人生における通過点
今や「定年=仕事終了」ではないと著者はいいます。定年は会社制度の一つであり、人生や仕事そのものが定年で終わるわけではありません。まず、定年は人生における通過点であると捉えておくことが大事でしょう。つまり、人生における一つの仕事が終わり、次の仕事が新たに始まっていくという認識が正しいのかもしれません。
そして、定年後の仕事は、自分が心底楽しいと思えることをする。成功のポイントは好きなことで働くと、自分で決めることだといいます。そのためにも、得意分野を掛け合わせた強みを早く見つけておき、定年前から次の仕事に向けた準備をしておくことがポイントです。
不安を払拭して、定年後も自分の人生をよりよく生きるために、早くから定活に励んでおきたいものです。
タイトル:最強の定年前マネジメント
著者:泉正人
発行:サンマーク出版
定価:1,512円(税込)
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