老後の生活をゆとりあるものにする「自分年金」の作り方

老後の生活をゆとりあるものにする「自分年金」の作り方

2019年5月21日

老後の生活をゆとりあるものにする「自分年金」の作り方

ひとり暮らしの高齢者数が2040年に896万人に達し、2015年に比べ43.4%増加するという発表がありました。(国立社会保障・人口問題研究所)この高齢化社会に備え、さまざまな年金を上手く活用していくことが重要になってきます。今回の記事では、老後の生活に差が出る「自分年金」をつくる方法を解説します。

老後に必要な生活費を考えよう

厚生年金と国民年金で生活は成り立つ?

まずは、年金の種類から紹介していきます。公的年金は、厚生年金、国民年金が主なものです。厚生年金は、会社員や公務員などの組織に勤めている人が貰える年金で、国民年金は、自営業者や専業主婦など組織に勤めていない人のための年金です。

では、この公的年金だけで老後の生活は成り立つのでしょうか。結論から言うと難しいかと思います。厚生年金のほうが会社組織が半分負担するので、国民年金より支給額は多くなりますが、それでも生活は厳しくなるでしょう。

たとえば、平均的な夫婦の場合で月にかかる生活費は約27万円ほどになります。ところが、60歳で定年退職すると、65歳から公的年金を受け取るまで5年間は生活費などを自分で用意する必要があります。その後、公的年金の受給が開始されたとしても、公的年金だけでは月額約20万円しかないため、毎月約7万円の赤字になってしまいます。

ゆとりある生活をするにはいくら必要?

さらに、老後とはいえただ生活するだけではなく「旅行に行きたい」「趣味を楽しみたい」「孫にお小遣いをあげたい」「たまには外食をしたい」などの趣味や楽しみも必要です。
そんなゆとりある生活をするには、夫婦二人で月額約35.4万円は必要になるといわれています。

ざっと足りないお金の総額を計算したところ、老後の生活費は約1億80万円必要なのに対し、公的年金だけでは約6,630万円となるため、約3,000万円も足りない計算になります。もっとゆとりのある生活をしたいとなると、約1億2,744万円必要になり、約6,000万円も足りなくなります。

では、これら不足分をどう補えばよいでしょうか。そこで、おすすめなのが「自分年金」なのです。

公的年金以外の年金を知ろう

自分年金づくりのためのキーワードとして、「財形貯蓄制度」、「個人年金」、「確定拠出年金」、「積立投資」が挙げられます。ひとつひとつ見ていきましょう。

財形貯蓄制度とは?

まずは、「財形貯蓄制度」です。財形貯蓄制度は、会社が払う給料からあらかじめ決めた額(1,000円以上1円単位)を天引きし、積み立てる制度です。これには、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3タイプがあります。一般財形貯蓄は、使い道は自由で貯蓄開始から1年が経過すると払い出すことができます。財形住宅貯蓄は、マイホームの建設・購入やリフォームのための貯蓄で、財形年金貯蓄と合わせて550万円まで(保険などの場合は払込額350万円まで)非課税になります。しかし、住宅以外の払い出しには税金がかかるのでご注意ください。財形年金貯蓄は、老後の資金作りのための貯蓄で、60歳以降に年金として受け取ることができます。住宅財形と合わせて550万円まで(保険などの場合は払込額385万円まで)非課税となります。こちらも年金以外の払い出しには税金がかかります。

この「財形貯蓄制度」は、給料から貯蓄分を天引きするという勤め先の会社の福利厚生のひとつです。そのため、会社員をしながら計画的に貯めやすいという利点があります。

個人年金とは?

「個人年金」は民間の生命保険会社が扱う積立型の保険で、毎月決まった額を積み立て、60歳など受け取り開始年齢になったら受け取ることができます。

確定拠出年金とは?

「確定拠出年金」は、毎月一定額を積み立てて、その資金を自分で運用しながら老後の備えをする公的制度です。積み立てた分は、受け取り開始年齢の60歳になったら受け取ることができます。公的年金の上乗せ制度といえます。
確定拠出年金は、企業型と個人型の2つに分かれています。個人型は、掛金は自己負担、企業型は、掛金が企業負担の場合と、自分の給与から出す選択制があります。

積立投資とは?

「積立投資」は、毎月一定額で、投資商品を購入し、資産を積み立てていくことです。商品としては、投資信託や外貨預金などがあります。
今回はこの積立投資を例に、自分年金のシミュレーションをしてみましょう。

「積立投資」を上手く活用し「自分年金」にしよう

今30歳の人が、60歳までに1,000万円を貯めるには毎月いくら貯める必要があるでしょうか。1,000万円÷30年間÷12ヵ月=約2万8,000円になります。当然ながら早く始めるほど、毎月の必要額は小さくなり、逆に遅く始めるほど額は大きくなるわけです。つまり、同じ1,000万円貯めるのでも、準備期間が長いほど月々の積立額が少なくて済み、負担なく準備ができるのです。

この準備を前項でみてきた公的年金以外の方法でやるとすると、それぞれにリスクや現金の引き出しやすさが異なります。それ図にしたのが以下の図です。

定期預金、積立投資、財形貯蓄、個人年金、確定拠出年金

この図を見ると、「積立投資」は現金が引き出しやすいもののリスクが高いことが分かります。しかし、この「積立投資」をうまく活用することで、老後の生活をゆとりあるものにできます。先ほど解説した、30歳の人が30年で1,000万円貯めるケースでは、月々の積立額は2万8,000円必要になりますが、もし積立投資で年2%の運用をした場合、30歳の時の毎月の積立額は2万1,000円と7,000円程(年間にでは84,000円)少なくて済むのです。

運用しない場合の毎月の積立額、年2%で運用した場合の毎月の積立額

このような投資のリスクを怖いと感じる人もいるかと思います。そこでおすすめするのが、投資の「分散」と「長期」という考え方です。

分散投資とは

分散とは値動きの違うものを組み合わせることです。ポイントは、中長期先のインフレのリスクや、貨幣価値の低下リスクなどを想定することです。

下の図は、商品別に値動きの大きさの順に並べたものです。これらを組み合わせることで、資産の分散ができます。

リターンの大きさ、リスクの大きさ

例えば、「国内株式」だけに投資するとなると、高リスク、高リターンとなりますが、「国内株式」「海外株式」「国内債券」「外国債券」と資産を4等分して投資すれば、リターンは少ないですが、リスクも少なくなります。

長期投資とは

「長期」の投資とは、短期的な利益ではなく長期間の保有を前提として利益を得るという考え方です。

下図の通り、短期的に見たときに、損益が大きく変動していても、長期保有すると、損益の揺れの大きさを軽減する効果が期待できます。これが、長期投資によるリスクの軽減になります。

長期で保有すると損益の振れの大きさを軽減させる効果が期待されます。

まとめ

65歳までにいくら貯めるかという目標設定を行い、ライフプランに合わせて無理なく早めに「自分年金」の準備を始めることが大切です。

ゆとりある老後のためにも、今から計画を立てた上で、必要な準備をしておきましょう。

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