
これはこんなことに起因していそうです。例えばアメリカでは、小学校の授業のなかでゲームなどで投資について学んでいます。子どものころから、お金について考え、お金をどう増やしていくか、授業を通してクラス全員が学んでいく環境が与えられています。ですから、大人になって、投資への拒否反応がない。これは日本人との大きな違いです。投資と聞くとリスクが怖い、騙される、一文無しになる、などの声が上がりますが、これは知らないものへの怖さ、マネーリテラシーの低さが引き起こす勘違いです。
アメリカと日本の投資へ関心の違い
2018年8月発表の日本銀行調査統計局データによると、家計の保有する金融資産のうち、投資にまわす割合が米国では50%を超えているのに対して、日本は16%程度だそうです。日本では現金で保有している割合が52%、米国は13%で、日本では現金第一主義の傾向が強く出ています。
お金のリテラシーとは
さて、お金のことを知らないといわれますが、何を知っておけば良いのでしょうか。お金のリテラシーとは何でしょうか?いろいろな方が話していますが、私は以下の方程式がベースにあると思います。
「Ⅰ:稼ぐ(貯める)>Ⅱ:使う」
Ⅰ:稼ぐ力を持つ
どのような方法で稼ぐのか。成人したら自立した生活を送るためにお金を稼ぎ収入を得ていかなければなりません。
Ⅱ:その稼いだお金の範疇で暮らす。
老いて、稼ぐ力が弱くなることを想定して将来のためのお金を準備しておく。貯めるということです。
そして、ⅠとⅡのバランスが取っていくことが家計経済の大前提です。破産せずに暮らしていくことができます。稼ぎが少なければ少ないに見合う暮らしをすること。少ないと感じるならば、能力を伸ばすことで稼ぎを増やすなど対策をしていくべきです。
さて、「稼ぐ>使う」が成り立つ上で、次に、以下のA、B 2つの行動が派生してきます。
A:稼いだお金を殖やすことを考える→投資など
B:使うお金を減らす→節約など
A:稼いだお金を殖やす→投資など
今あるお金を殖やしていくために多少の専門性のある知識が必要ですから、投資について学ぶ努力をしましょう。
先述の通り日本人の金融資産の半分は、現金(預金)です。銀行の利子はメガバンク、ゆうちょ銀行で0.01%(300万未満、一年定期、19年5月現在)です。100万円預けて一年で100円の利子。利子には課税されますので(源泉徴収で自動的に引かれます)20.315%(2019年現在)引かれて79円くらいの儲けです。
また、現金保有のリスクにはこんなことも考えられます。現金が安全に保管できますが、インフレになった場合は危険です。物価が2倍になれば、預金していた現金の価値は半減してしまいます。
投資にはリスクがついてくるといわれます。このリスクとは想定していない動きのことです。プラスにぶれるリスクもあれば、マイナスで損をするリスクもあります。バランスよく現金と投資と金融資産を分けることが、結局一番のリスクをとらない方法なのです。
投資にはいろいろなタイプのものがあります。例えば、定期預金も時間を使って金融機関にお金を預けることで利子を得るというひとつの投資です。利率が5%だとかあった時代には、様々な商品が出ていました。現在は低金利時代にあり、オススメできる商品が思い当たりません。
この他、投資信託、個人向け債券(いまは商品が少ない)、株式投資、外貨FX、金、先物取引、オプション取引、不動産、などたくさんあります。これならやってみたいと感じるもの、興味を持てるもの、を調べてみるのもいいと思います。特に、投資信託や株式投資などは、国が特別な制度(税制優遇のため)を敷いています。NISAやiDeCoは収益に対する税金が優遇されているので、利用しないのはもったいないと個人的には思います。口座が必要なので、まずは口座開設(無料でできます)をしてみるのもいいですね。
B:使う額を減らす
いろいろな面から節約の方法が伝えられています。こだわりたい部分とそうではない部分を分けて、心が満たされる暮らしをしたいですね。家事関連のほか、住宅や車の所有、趣味嗜好、学ぶための費用などいろいろなことに人々は支出しています。それらを一つ一つ見直して、ミニマムの生活を一度試算するといいと思います。その上で、余裕がある分で、もっとも価値のあるところにお金をかけていくといいですね。
まとめ
投資する=お金のリテラシーが高いのではありません。基本として、収入と支出のバランスが取れていることが大事です。その上で、殖やす方法を一歩進んで知ってみることが、低金利で、かつ人生100年時代といわれる現代を生きる対応策の1つなのではないかと思います。
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